今回ご紹介するのは・・・
古都・京都ゆかりの言葉です
今でも使われる『言葉』の語源には
1200年の歴史を持つ京都ゆかりのものが
多数、存在しています
今回は、そんな『京ゆかりの言葉』を
いくつかご紹介させていただきます
・大袈裟(おおげさ)
物事を実際よりも誇張するという意味の『大袈裟』という言葉は
一体ドコからきているのか?と言いますと
お坊さんの着ている『袈裟(けさ)』が語源だと言われています。
つまり大きな袈裟を着ていたお坊さんがいたってコトです。
そのお坊さんとは・・・
鎌倉時代初期の僧・栄西(えいさい)です!
彼は、臨済宗の開祖として知られる高僧で
中国から日本にお茶を持ち帰ったお坊さんとしても有名です。
京都・祇園にある『建仁寺』は、鎌倉幕府2代将軍・源頼家(みなもとのよりいえ)から土地の寄進を受けて、栄西が開基しました。
そんな彼の言動が、とても『大胆であった』事や
『大それた』発言をしていたようで
これを『おおけなし』といったそうです。
ここから、転化した言葉が『大袈裟』だと言われているんですね。
確かにニュアンスは近いですよね。
ただし『物事を誇張する』意味として大袈裟が使われるようになったのは
近年であるとも言われ
語源は栄西では無いのでは?という見方もされているそうです
・几帳面(きちょうめん)
きっちりとしている人や、物事を最後まで丁寧にする人の事を
『几帳面な人』なんて表現しますけど
この几帳面とは一体、どんな意味が隠されているのでしょう。
実は、これは『几帳の面』を表現した事が語源となっているんですね!
じゃあ、その几帳とは何か?と言いますと
平安時代より公家の邸宅で使われた部屋の仕切る(目隠しする)為の家具の事です。
洋服をかけるスタンドのようなもので、T字型をしています。
この横に伸びる棒(約1メートルほど)の表面には
細やかな加工がしてあり、これを『几帳面』と言いました
※几帳面は木材の角の一部を丸く削り、なおかつそこに真っ直ぐな刻み目を2本入れるというものです。
この几帳面に加工する作業には
正確な技術が必要とされたんですね。
つまり
『几帳面を仕上げられる人』=『丁寧で、きちんとした仕事が出来る人』
と言われた事が、几帳面の語源になっているというワケなんです。
平安時代の女性はこうした几帳を立てそこに絹織物をかけて
自分の姿を外部から見えないようにしていたそうで
ちなみに、源氏物語の作中にも『几帳』は登場します
廬山寺(ろざんじ)は、その源氏物語を執筆した紫式部の邸宅跡に建てられたお寺です。源氏物語について詳しくは源氏物語ゆかりの地巡りの記事をご覧下さい。
この他、源氏物語絵巻にも几帳はばっちり描かれているんですよっ。
・くだをまく
酔っ払った人に向かって
「あの人、もうくだをまいてるのね」なんて表現をしますが
この『くだをまく』とは漢字で書くと『管を巻く』と書くんですね。
この管とは、機織の際に使用する
糸をあらかじめ巻きつけておく為の裁縫器具の1つなのです
この糸を管に巻きつける工程を『管巻き』と言います
何重にも糸をぐるぐると管に巻きつけるんですね。
つまり、くだをまくとは
『管巻き』の単調な作業(同じ事の繰り返し)が、
くどくどと同じことを言う酔っ払いの姿に重ねて
『くだを巻く』と表現したんですね
この管を使っていたのが西陣織(にしじんおり)です。
西陣織とは、地名であり、そこで誕生した織物という事で『西陣織』と名付けられました。こちらは西陣からもほど近い場所にある北野天満宮です。北野天満宮については、北野天満宮 その2の記事をご覧下さい。
京都の伝統工芸の1つで、絵柄を後から描く染物とは違い
先に染めた複数の色の糸を編み込んで(つづれ織)絵柄を織るんですね。
・油を売る(あぶらをうる)
仕事を怠けたり、無駄に時間を潰したりしていると
「油を売ってないで仕事をしなさい!!」なんて言いますよね
この『油を売る』という語源には、様々な説があるとされているのですが
その1つが、室町時代の京都にあった『油座(油業者)』の事を指していると言われているんです。
当時、あった大山崎油座(おおやまざきあぶらざ)は畿内を中心に
独占的に原料の仕入れから製油・販売を行っていました
ちなみに大山崎油座は、離宮八幡宮の神職などで構成されていたようです。詳しくは離宮八幡宮の記事をご覧下さい。
これが儲け放題であった事や
殿様商売だったので一生懸命しなくても儲かった事から
『遊び半分で、無駄話をしながらでも出来る事』=『油を売る』という
意味になったのではないかと言われています
※この他にも、江戸時代の髪の油を売っている商人が、油を入れ替えている間、女性を相手に長々と世間話をしながら、油を売っていた事が語源だとも言われています。
という事で今回は京ゆかりの言葉をご紹介させていただきました!