今回ご紹介するのは
安楽寺(あんらくじ)で行なわれた・・・
鹿ヶ谷カボチャ供養(ししがたにかぼちゃくよう)です
夏の風物詩とも言える行事の1つで
「夏の土用の頃に、当地の鹿ヶ谷カボチャを振る舞えば中風にならない。」
という言い伝えから、安楽寺では
独特の瓢箪型(ひょうたんがた)をした『鹿ヶ谷カボチャ』が参拝者に振る舞われます~
『鹿ヶ谷カボチャ』について簡単にご説明しますと・・
鹿ヶ谷とは京都市東山区にある地名の1つであり
この地で誕生したカボチャなので
『鹿ヶ谷カボチャ』と言うんですね
※鹿ヶ谷は、平清盛打倒のクーデターを計画した事件『鹿ヶ谷の陰謀(ししがたにのいんぼう)』が企てられた場所でもあるんですよ。この鹿ヶ谷の陰謀について詳しくは三十三間堂の記事をご覧下さい。
誕生したのは江戸時代中期(1790年頃)だそうで
京都の粟田村(あわたむら・現在の東山区粟田口)に住んでいた
玉屋藤四郎(たまやとうしろう)という人物が
津軽国(つがるのくに・現在の青森県)に旅行に行った際
カボチャの種を土産に持って帰って来たそうです
この種が鹿ヶ谷に住んでいた
百姓・庄米兵衛という人物の手に渡り
実際に育ててみた所・・・
このような突然変異したカボチャが
誕生したというワケなんですね~!
ちなみに、この『鹿ヶ谷カボチャ』は
1987年に定められ『京の伝統野菜』の1つです。
京の伝統野菜は、この他にも
『賀茂なす』『聖護院かぶ』『壬生菜』『堀川ごぼう』『九条ねぎ』『すぐき菜』
など、地名の付いた野菜が
数多く指定されていているんですね。
さて、そんな鹿ヶ谷カボチャ供養は
安楽寺にて朝9時から行なわれています
※ちなみに15時までに安楽寺に到着すれば、鹿ヶ谷カボチャ供養の接待を受ける事は可能ですよ~。
鹿ヶ谷カボチャが振る舞われる他
本堂にて和尚さんの説法が聴けたり、寺宝の数々を見る事が出来るんですよ~。
寺宝の中には
松虫と鈴虫の掛軸『剃髪図』などもありました。
10時と15時には
和尚さんによる『剃髪図』の絵解き(解説)も行なわれています。
ちなみに松虫と鈴虫は
もとは後鳥羽上皇の女官をしていたようです
境内には彼女達の供養塔が建てられています。
しかし、上皇に内緒で出家した事から
怒りを買い、草庵は荒廃する事となるんですね・・・
※安楽寺や松虫・鈴虫について詳しくは、安楽寺 その1をご覧下さい。
さて、お話を戻しまして
こちらが振る舞われた鹿ヶ谷カボチャです
大きな鍋でぐつぐつと煮込んだもので
調理や配膳は、安楽寺の檀家さんの方が中心となって
おもてなしされているそうです
冒頭でお伝えした
「鹿ヶ谷カボチャを振る舞えば中風(まひや言語障害、手足のしびれ)にならない。」
という言い伝えは、鹿ヶ谷カボチャが誕生した同時期に
安楽寺の住職・真空益随(しんくうえきずい)が
ご本尊の阿弥陀如来より受けたお告げが、起源だそうですよ。
ちなみに、鹿ヶ谷カボチャは
当時『瓢箪南京(ひょうたんなんきん)』と呼ばれ
『運が付く』食べ物とされていたんですね
※『運』=『ん』が付く食べ物という事です。特に『ん』が2つ付く食べ物『れんこん』『にんじん』『なんてん』などが、厄を払いや縁起ものとして、よく食べられました。
こうした事も、鹿ヶ谷カボチャが
広く食べられるようになった理由の1つにあるようですよ。
以後、それから220年以上もの間
この安楽寺では
毎年7月25日に鹿ヶ谷カボチャが振る舞われています。
※ちなみに中風除けの為に、かぼちゃを食べる行事は、矢田寺や不思議不動院でも行なわれています。不思議不動院については、かぼちゃ大師供養 2012(不思議不動院)の記事をご覧下さい。
ちなみに、鹿ヶ谷カボチャは
一般的なカボチャよりも、食感がもっちりとしている印象を受けました
この他、栄養価が大変高く
ビタミンCが1.7倍、カリウムが1.4倍もあるそうですよ。
現在、鹿ヶ谷は都市開発が進み
農地が減った事から『鹿ヶ谷カボチャ』は
この地で作られる事が殆どなくなったそうで
安楽寺では、京の伝統野菜の生産に力を入れる
綾部市(あやべし・京都府北西部)の協力により
毎年300キロ前後のカボチャを提供して貰っているそうですよ
地元だけでなく、京都全体で
伝統的な野菜や文化を守っているなんて
ステキですねっ!
そんな『鹿ヶ谷カボチャ供養』が行なわれた
安楽寺の場所はコチラ↓