2014-09-29 | |
テーマ:お寺 |
浄土院(湯たく山茶くれん寺)
今回ご紹介するのは
京都市上京区の千本今出川にある
浄土院(じょうどいん)です!
ちなみに浄土院という
名前のお寺は他にもあって
以前ご紹介した通称・大文字寺(だいもんじでら)も
正式名称は浄土院と言います。
そして今回ご紹介している
浄土院にも通称名があり
実は通称名の方が有名だったりするんですね~。
その通称名とは・・・
『湯たく山茶くれん寺(ゆたくさんちゃくれんじ)』
と言うんですけれど
なんともユニークな名前だと思いませんか
『豊公遺跡 湯たく山茶くれん寺 浄土院』と書かれた石碑。
そちらはまた後ほどご説明するとしまして
まずはお寺の簡単なご紹介をしたいと思います
浄土院は浄土宗のお寺で
東へ少し行ったところにある
天台宗・般舟院(はんじゅいん)の
隠居所として創建されたんだそうですよ。
ちなみに浄土院は尼寺です。
では早速中に入ってみましょう
山門をくぐると
目の前には本堂がありました。
本堂の中にはご本尊の
阿弥陀如来坐像(あみだにょらいざぞう)が
安置されています。
※重要文化財で寂能の作と伝えられているそうです。
そして本堂の屋根に注目してもらいたいのですけれど
実は2体の焼き物が乗っているんですよ
この焼物は
千家十職(せんけじっそく)の1つであり
茶碗師・樂家(らくけ)の
初代・樂吉左衛門(らくきちざえもん)と言われている 長次郎の作と伝えられています。
※千家十職とは、三千家(表千家・裏千家・武者小路千家)に出入りする10の職家を表す尊称の事です。樂家は代々、樂吉左衛門の名を襲名しています。
写真ではちょっとわかりにくいかもしれませんけれど
屋根の右側には
巻き物を持った寒山像
普賢菩薩(ふけんぼさつ)の化身と言われる寒山(かんざん)像が
屋根の左側には
ほうきに乗った拾得像
文殊菩薩(もんじゅぼさつ)の化身と言われる拾得(じっとく)像が
あるんですよ。
※寒山と拾得は、中国の禅僧なんですね。それぞれが普賢菩薩・文殊菩薩の化身と言われている事から、禅画に描かれる事が多いみたいです。
そして冒頭でお話した
通称名『湯たく山茶くれん寺』の由来は
天下人・豊臣秀吉(とよとみひでよし)に
関係しています。
秀吉は九州を平定した事と
聚楽第(じゅらくだい・じゅらくてい)の完成を祝う目的で
『北野大茶湯(きたのおおちゃのゆ)』という
盛大なお茶会を開こうと準備していたんですね。
※北野天満宮にはお茶会で使用したと言われる太閤井戸や石碑が建っています。詳しくは、北野大茶湯之址の記事をご覧ください。また聚楽第について詳しくは、聚楽第の史跡巡りの記事をご覧ください。
そんな中、秀吉は
浄土院に名水がある事を知り
何の連絡もせずに
突然、浄土院を訪れ
お茶を所望したんだそうです
あの秀吉が突然やってくるわけですから
浄土院の住職はびっくりしたでしょうね!!
断るわけにもいかず
住職は秀吉にお茶を出します。
訪れた際にはお茶を頂きました。
秀吉は1杯目を飲んだ後
すぐに2杯目を所望したと言われています。
しかし浄土院の住職は
茶人としても大変有名な秀吉に
自分の未熟なお茶を出し続けるのは恥だと思い
何よりも失礼にあたると考えたんだそうですよ
けれどお茶を欲しがっている秀吉に
何も出さないわけにもいかないので
それならば
境内の名水『銀水』を味わってもらおうと
沸かしただけの白湯を出し続けました!!
これに驚いたのは秀吉の方です。
自分はお茶を頼んでいるのに
なにせ出てくるのは白湯ばかりなんですから
境内の地蔵尊。
しかしそこは天下人秀吉!
住職の気持ちに気が付くんですね~。
「この寺は、お茶を頼んでいるのに白湯ばかりが出てきて
お茶をくれん。湯たくさん茶くれん!」と
笑いながら言ったそうです。
もうお分かりですよね!
この住職と秀吉のエピソードから
通称『湯たく山茶くれん寺』と
呼ばれるようになったんだそうですよ~
※ちなみにこちらの浄土院は通常非公開のお寺なんですけれど事前予約をすると拝観をする事が出来ます。
境内にあったお稲荷さん。
お寺には秀吉に出した銀水を
くみ上げた際に使用されたと伝わる『つるべ』や
井戸の跡が残っています。
また、3代目住職が秀吉の紋をあしらって造ったと伝わる茶釜や
寒山、拾得の絵をあしらった赤と黒の茶碗を保存しているそうですよ
秀吉のユニークなエピソードのあるお寺
浄土院の場所はコチラ↓
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