今回ご紹介するのは
京都春季非公開文化財特別公開で
特別公開されていた
![宝塔寺](2014/05/06/01/2014-05-06-9.jpg)
宝塔寺(ほうとうじ)です!
宝塔寺は京都伏見にある
深草(ふかくさ)と呼ばれる地域にあるんですよ。
近くには伏見稲荷や藤森神社があります
![こま札](2014/05/06/01/2014-05-06-2.jpg)
さてこちらの宝塔寺は日蓮宗のお寺で
藤原基経(ふじわらのもとつね)が創建したお寺である
真言宗の極楽寺が前身と言われています。
藤原基経と言えば、初代関白!であり
伏見にある墨染(すみぞめ)という地名の
由来になっている人物なんですよ
※詳しくは墨染寺(ぼくせんじ)の記事をご覧下さい。
ある時、基経は仁明天皇(にんみょうてんのう・第54代天皇)の
竹田にある芹川への行幸に同行します。
※現在、伏見区にある竹田に芹川という河川はありません。
その際、仁明天皇は愛用していた琴の爪を
失くしてしまうんですね
その爪を探すよう命じられたのが基経で
彼は仁明天皇の爪を探す際に
「もし爪を見つける事が出来ましたなら
必ずその土地に伽藍を建立します」
と誓いを立てたそうです。
基経は、その甲斐あってか
深草の地で爪を探し出すことが出来たんですね
琴の爪の様な小さな物を捜し出すなんて
凄いですよね!
その後、基経は誓いを守るため
晩年、この地に極楽寺の創建を決めたというわけなんです。
![極楽寺の伽藍石](2014/05/06/01/2014-05-06-3.jpg)
総門横にある極楽寺の伽藍石です。
詳しい創建年月日はわかりませんけれど
848~851年(嘉祥年間)だと言われています。
基経が創建した極楽寺は
鎌倉時代の1307年(徳冶2年)に
極楽寺の住持である良桂(りょうけい)と
日蓮宗の日像(にちぞう)が向日町の真言寺で
3日3晩論じ合い、良桂が日像に帰依した事で
日蓮宗のお寺となったようです
つまり数百年続いてきた真言宗極楽寺の大伽藍が 一朝のうちに日蓮宗の道場になったというわけです!
これには、お弟子さんたちも
ビックリ!したと思います。
ちなみに日像と言えば、京都の夏の風物詩である
五山の送り火で点火される『妙法』の
『妙』の字を書いた人物として有名なんですよ
※五山の送り火について詳しくは、大文字 2010、大文字 2011の記事をご覧ください。
そして日像が亡くなった後は
日像直筆のお題目寿塔(じゅとう・生前に建てておく塔の形をした木片)が
京の七口に建てられた事にちなんで
宝塔寺と名を改めたそうです。
話が長くなりましたけれど
早速レポートしていきましょう
総門です。
![四脚門](2014/05/06/01/2014-05-06-1.jpg)
こちらの門は、四脚門(しきゃくもん)と呼ばれ 重要文化財に指定されています。
四脚門とは、門柱の前後に控柱(ひかえばしら)を2本ずつ建てた造りで
合計で6本の柱がある、格式の高い門の事なんですね。
※図にしてみました♪
◎=門柱
○=控柱
○-◎-○
┃
┃
○-◎-○
四脚門をくぐって、
![参道](2014/05/06/01/2014-05-06-6.jpg)
まっすぐ伸びる参道を歩いていくと
仁王門が見えてきます。
こちらの仁王門の天井には
![仁王門](2014/05/06/01/2014-05-06-7.jpg)
牡丹の花が描かれていました
![天井の牡丹の花](2014/05/06/01/2014-05-06-8.jpg)
その数なんと250枚!
仁王門をくぐったその先には
本堂が見えてきましたよ!
本堂は1608年のもので
日蓮宗の中では京都最古の本堂です。
![京都最古の本堂](2014/05/06/01/2014-05-06-9.jpg)
正面にご本尊である釈迦如来が安置され
左に日像上人像、右に日蓮上人像がありました。
※本堂の中は撮影禁止でしたので写真はありません。
さて、宝塔寺は源氏物語ゆかりの地としても有名で
![『藤裏葉の苑』の石](2014/05/06/01/2014-05-06-4.jpg)
総門横にある『藤裏葉の苑』の石です。
源氏物語第33帖『藤裏葉(ふじのうらば)』の舞台となっているんですよ。
※この場所で大宮の一周忌が行われたんですね。
こちらは本堂の右手にある多宝塔です。
![多宝塔](2014/05/06/01/2014-05-06-10.jpg)
室町時代に建てられた行基葺(ぎょうきぶき)という
珍しい屋根が特徴的なんです。
![行基葺の屋根](2014/05/06/01/2014-05-06-11.jpg)
瓦は丸瓦の片方が細くなっている
末広がりのものを使ったものなんですよ~
※ちなみに行基葺は日本で最も古い瓦葺きなんだそうです。行基について詳しくは、法輪寺・嵯峨の虚空蔵さんの記事をご覧下さい。
こちらは太鼓楼です。
![太鼓楼](2014/05/06/01/2014-05-06-12.jpg)
太鼓楼をくぐって石段を登って行くと
七面宮へと続きます。
石段の途中には
![昭宣堂](2014/05/06/01/2014-05-06-13.jpg)
昭宣堂(しょうせんどう)がありました。
昭宣とは藤原基経の事で
中に基経の供養塚があるんですね~
こちらは千佛堂です。
![千佛堂](2014/05/06/01/2014-05-06-15.jpg)
鬼子母神(きしもしん)が祀られています。
安産祈願や子育祈願にご利益があるんですよ
そしてこちらが七面大明神(しちめんだいみょうじん)を祀る
![七面宮](2014/05/06/01/2014-05-06-16.jpg)
七面宮です!
ここまで登ってくると本堂のある場所との高低差は
100メートルにも及ぶそうです
天気のいい日は大阪城を見ることも出来るそうですよ
こちらは日像上人廟です。
![日像上人廟](2014/05/06/01/2014-05-06-19.jpg)
日像上人廟の前には
![経一丸の銅像](2014/05/06/01/2014-05-06-20.jpg)
経一丸(きょういちまる・日像の幼名)さまと書かれた
銅像がありました。
境内にはこの他
宮本武蔵(みやもとむさし)の弟子である
宮本伊織(みやもといおり)のお墓や
三十番神(さんじゅうばんしん)、千仏堂、妙見堂といった
お堂や祠がたくさんあるんですね
11月には、七面宮で
お火焚祭が行われていますので
機会があれば参加してみてはいかがでしょうか。
※お火焚祭について詳しくは、お火焚祭 2012(宝塔寺)の記事をご覧下さい。
そんな宝塔寺の場所はコチラ↓