今回ご紹介するのは・・・
生間流(いかまりゅう)の式包丁(しきぼうちょう・式庖丁)が
奉納される神事一覧です!
こちらの写真をまずはご覧下さい。
魚をさばいているんですけど
・・・どこか違いますよね!?
そうなんですっ。
『式包丁』とは、まな板に乗った魚に、一切手を触れず
包丁と真魚箸(まなばし・菜箸に似た、先の尖った長い鉄製の箸)だけを使って
華麗にさばいて盛り付けるんです
これは平安時代、宮中の祝いの席で披露された事が起源とされ
その姿は、鎌倉時代以降、絵画でも伝えられているんですよっ
※江戸時代、宮中では1月19日、幕府では1月21日に『式包丁』が行われていたそうです。
現在は神様へ奉納として披露されていますが
もともとは天皇陛下の前で披露されていたものなんですね。
直接手で触れた食材を出すという事は『穢れ』に繋がります。
※神様や天皇陛下に対して穢れはご法度です。神事などでも、まずは参列者のお祓いをしてから、始めますよね。それと同じ意味です。
こうした事から式包丁では手を使わず食材をさばき
盛り付けるようになったと言われています。
盛り付けは、瑞祥(ずいしょう・めでたい姿)を表現するもので
素材には鯛や鯉などが使われる事が多いです。
ちなみに、こちらはその盛り付けの1つ『藻隠れの鯛(もがくれのたい)』です。
1匹の魚を手で触れずにさばき、ここまで盛り付けるんですよっ
すごいの一言ですっ。
そして、その『式包丁』を継承している流派の1つが
生間流です
料理の神様と言われる藤原山蔭(ふじわらのやまかげ)を
創始者とする四条流庖丁道(しじょうりゅうほうちょうどう)から
分かれた流派の1つです。
※藤原山蔭については、後ほどご説明させていただきます。
鎌倉時代に、源頼朝より生間姓を賜ったとされ
以後、足利家、織田家、豊臣家に仕え
武家料理を提供してきたそうですよ。
では早速、生間流の式包丁が奉納される
神事をご紹介します!
※神事によっては『包丁式』と呼ばれるものもあります。
5月-例祭(山蔭神社)
料理・包丁の神様とされている藤原山蔭を祀る
山蔭神社で行われる例祭は
飲食業や料理に関する事業の発展と繁栄が祈願される神事です。
この事から、神事には食品関係の会社や
飲食業に携わる方などが参加されているんですよ~
この神事の中で、生間流の方による式包丁が奉納されます。
ちなみに、藤原山蔭とは
平安時代初期、光孝天皇(こうこうてんのう・第58代天皇)の命により
式包丁を任せられた人物で
これをきっかけに、見事な包丁さばきで魚を切るだけでなく
さばいた後の食材を『綺麗に並べる(盛り付ける)』という事を
発案した人物だと言われています。
さらに宮中料理の諸作法(調理法や作法)を
1つに整えた事から『料理や包丁の神様』と崇められるようになったんですね。
※例祭の様子は例祭 2012(山蔭神社)の記事をご覧下さい。
7月-水まつり(貴船神社)
貴船神社は古来より、水の神様を祀る神社と言われ
『雨乞いの神事』が盛んに行われていたそうです
この水まつりは、そんな雨乞いの神事を基に、1963年より始められました。
神事では、裏千家による献茶、そして舞楽の奉納の後
生間流による式包丁が奉納されます
※詳しくは水まつり 2012(貴船神社)の記事をご覧下さい。
7月-祇園祭(八坂神社)
式包丁は、あの祇園祭でも奉納されているんですね!
場所が八坂神社本殿内なので
関係者のみしか見る事は出来ませんが
毎年、山鉾巡行の2日前(7月15日)に奉納されています
ちなみに祇園祭は山鉾巡行だけでなく
このように、様々な奉納行事や神事が1ヶ月間かけて行われています。
詳しくは祇園祭のイベント一覧をご覧下さい。
京都の恵美須神社は、兵庫県・西宮神社、大阪府・今宮戎神社と並ぶ
日本三大えびすの1つで「京のえべっさん」の名で
親しまれている神社です。
10月に行われる『二十日ゑびす大祭』は
えべっさん(恵比寿神)が海からやって来た日(10月20日)に
行われる祭で、14時より生間流の式包丁が行われます
ちなみに、この二十日ゑびす大祭での式包丁は
間近で、生間流の見事な包丁さばきを見る事が出来ますよっ
すぐ目の前で見れるので早めに行って
良い場所を確保しておきましょう~。
※本殿向かって左の建物で、式包丁は行われます。
という事で、今回は
生間流の式包丁が奉納される神事一覧を
ご紹介させていただきました。
場所はコチラ↓
より大きな地図で 生間流の式包丁が奉納される神事一覧 を表示