今回ご紹介するのは・・・
吉原の万灯籠(よしわらのまんどろ)です
約300年の歴史を持つ祭で
魚の形を表現した、高さ14メートル・幅4.5メートルもの
万灯籠に神火を灯し
川の中に立て、ぐるぐると何度も豪快に回転させながら
海上安全・大漁を祈願する火祭です
※毎年8月16日に行なわれています。
まず『吉原の万灯籠』が行なわれる
京都府舞鶴市(まいづるし・京都府北部)の吉原について
ご説明させていただきますっ!
吉原は舞鶴湾に面する地区で、昔から漁業の町として栄えてきました
※現在も漁師の方を中心に、海産物の加工業者などが軒を連ねています。
祭が始まるきっかけとなったのは
この地区(村)に起こった『いくつかの悲劇』が理由に挙げられます。
まず1つが、村を襲った大規模な大火事です。
それに加えて
海に巨大クラゲが大量発生した事や
海上の事故が相次ぎ
結果的に・・・漁業が思うように出来なくなったんですね。
火事にクラゲに海上事故・・
これは海の神様が怒っているに違いない!
という事で、そんな神様の怒りを鎮める為に始められたのが
この万灯籠なのです。
でも、どうして火祭なのか?と言いますと
一説では、大火事が起こった事から
村には、火除けのご利益がある『愛宕信仰(あたごしんこう)』が広まっていったと言われています。
※愛宕信仰とは、愛宕神社(あたごじんじゃ)から生まれた火除け(火伏せ)の信仰です。簡単に言うと、迦遇槌命(かぐつちのみこと)を祀る事によって、火事から守ってもらおうという考え方です。詳しくは例祭 2012(愛宕神社)の記事をご覧下さい。
この事から、この火には
京都の『愛宕神社』に対して、献灯の意味があると言われているんですよっ。
※この他にも、火を灯す事で、漁業によって収穫した魚に対する鎮魂(灯明)の意味があったりするそうです。
では早速レポートしたいと思います~!!
今回の万灯籠が行なわれるのは
伊佐津川(いさづがわ・舞鶴湾に繋がる川)に架かる大和橋近辺です。
※詳しい場所は、この記事の下部にあるマップにてご確認下さい。
ここでは、朝から今回の主役と言える
『万灯籠』作りが行なわれていたんですね。
大小様々な竹を組み合わせ、紐で縛りつけたもので
当日の早朝より、地元の方によって製作されます。
※竹は半年間かけて、燃えやすいように乾燥させて準備するそうですよ。
そして19時頃
まずは近くにある朝代神社(あさしろじんじゃ)で
参加者のお祓いを済ませます。
続いて男性達は、隣にある円隆寺(えんりゅうじ)に移動します
ここで神火を授かるんですね。
この火を使って万灯籠に点火するというワケですっ!
※ご神火は愛宕神社より、かつて分けられたものなんだそうです。
ご神火の灯る松明を受け取ると
地区の青年達(少年を含む)20名ほどが
駆け足で万灯籠のある大和橋上流の岸辺に移動します
※途中、もう一本ずつ松明を受け取り、会場までの道のり約1キロを駆け抜けます。
ちなみに、ドコで万灯籠に火を点けるのか?と言いますと
なななーなんと・・・
川の中なのです!
ワイルドですね~っ
松明を持った青年達に続いて
万灯籠が川の中に運び込まれます
ゆっくりと慎重に、川の水に付けないように注意しながら
万灯籠が運び込まれると
計14箇所にご神火を灯します
続いて、万灯籠を立てる作業に入ります!
万灯籠にくくりつけたワイヤーを引っ張ったり
長い棒で支えながら、グッと万灯籠を引き起こします~っ。
なんとか無事に成功すると、観客席からも大きな拍手が上がっていました
しかーーーし!
これだけではありません。
見所はなんといっても万灯籠をグルグルと回すところですよねっ。
※一説では、この回った回数が多ければ、その分願い事も叶いやすくなるなんて言われているそうです。
万灯籠の軸を持ち、グルグルと回す担当と
火の粉から彼らを守る為に川の水をかける担当の
二手に分かれ
ワーッショイワーッショイと声を上げながら行ないます。
※会場の皆さんも、同様にワーッショイワーッショイとおっしゃってましたよ。
こうして
万灯籠が見事に回り始めます~っ。
回す時間や回数は決まっていないので
より多く、より長く回る方が良いとされているみたいですよ。
※例年、約10分~15分ほど回し続けるそうです。
そして、最後は音頭取りの方が
万灯籠のてっぺんに付いている御幣を取り
川の中に叩きつけるように万灯籠を倒して終了します!
倒れる瞬間はみなさん「あーーー!」と残念そうでしたけれど
万灯籠や、それを支える方々に
惜しみない拍手が送られていましたよ
万灯籠を川岸に引き上げて、祭は終了しました。
近年では、漁業関連の仕事も減り
地元を離れる若者も多いですが
万灯籠を見に、吉原(舞鶴)に帰省する方もいるようで
そういった意味でも
祭を続けていく事や、伝統文化を継承していく事って
すごく大事だと感じました~!
ちなみに、舞鶴を中心とした映画(ニワトリははだしだ・2004年)が過去に
あったそうで
映画の最後の方には、この吉原の万灯籠も出てくるそうですよ
気になる方は是非チェックしてみて下さいね。
そんな吉原の万灯籠が行なわれた場所はコチラ↓
より大きな地図で 吉原の万灯籠 を表示