今回ご紹介するのは
八坂神社で行なわれた・・・
お位返しの儀です
これは祇園祭に関する神事で
長刀鉾(なぎなたほこ)の稚児(ちご)が
授けられていた『位(くらい)』を
八坂神社にお返しするんですねっ
長刀鉾の稚児って何!?
何の位を授かってたの!?
なーんて思っていらっしゃる方も多いと思いますので
では、簡単にご説明したいと思います。
そもそも長刀鉾は
数々の山鉾の中でもリーダー的な存在であり
巡行の際も先頭を走ります!
そんな長刀鉾は、山鉾の中で唯一
生稚児(いきちご・人間の稚児)を乗せているんですね。
※稚児には10歳前後の男の子が毎年選ばれます。
ちなみに船鉾(ふねほこ)を除く、その他の鉾でも
かつては稚児が搭乗していましたが
人手不足という事もあり
現在では稚児人形(ちごにんぎょう・稚児の人形)が
代わりに搭乗しています。
・・でも、どうして長刀鉾だけ人形じゃいけないの??
と言いますと、その理由の1つとして
巡行当日に『重要な任務を任されている』からなんです
その重要な任務というのが・・・
注連縄切り(しめなわぎり)ですっ
この縄は結界を意味していて
稚児が巡行の際に、太刀でこの注連縄を切る事によって
これより先の神域に入っていく事が出来ます。
ちなみに、この重要な任務は
ただの子供では出来ません!
これは稚児が、八坂神社より『神の使い』と任命され
位を授かる事によって、初めて出来るようになるんです。
なので巡行の前に、八坂神社に出向き
ちゃんと位を貰っているんですねっ。
※ちなみに授かるのは、『10万石』と『五位少将(ごいしょうしょう)』という位です。詳しくは祇園祭 2012 長刀鉾稚児社参(八坂神社・長刀鉾保存会)の記事をご覧下さい。
今回の『お位返しの儀』では
この時に授かった位を返しに来る神事なんですっ
写真は2012年の様子です。
巡行当日はゴール地点である
新町御池(しんまちおいけ)手前で
稚児は長刀鉾を降り、その足で授かった位を返しに、八坂神社を訪れます
※自分で鉾を降りないのは、足をついては行けない決まりがあるからなんですね。詳しくは祇園祭 2012 社参の儀・長刀鉾稚児(八坂神社・長刀鉾保存会)の記事をご覧下さい。
稚児や禿は祇園祭の期間中、襟足を三角に剃り上げ「うろこ」と呼ばれる髪型にしています。これも独特の決まり事の1つです。
14時前、八坂神社の南楼門より
稚児と2人の禿(かむろ)が境内に入りますっ。
※禿は稚児の補佐役という位置付けであり、長刀鉾にも搭乗していたんですよ。
稚児や禿達は巡行の際とは違い
化粧も落とし、衣装も着替えていましたねっ。
こうして、無事に本殿に入ると
14時より『お位返しの儀』が始まります。
稚児や禿を筆頭に、長刀鉾の役員や、父兄の方々など
総勢30人ほどが神事に参加されていました
関係者しか参加出来ないので、写真はありませんが
本殿内では、お祓いや祝詞(のりと・宣言)の奏上の後
稚児達はお神酒(おみき)を飲み
最後に玉串を奉納していたみたいですよ
こうして20分ほどで本殿神事は終了です。
この瞬間、稚児は位を返し
普通の男の子に戻るというワケですね
お疲れ様でしたっ~。
ちなみに、祇園祭において
長刀鉾の稚児が参加する神事は以下になります
↓
・7月1日 お千度の儀
八坂神社に社参し、祭の無事を祈願する『お千度の儀』を行ないます。
・7月5日 長刀鉾稚児舞披露
長刀鉾保存会において、太平の舞が一般に披露されます。
・7月12日 長刀鉾曳初
長刀鉾の試し引きが行なわれ、これに稚児が搭乗します。
・7月13日 長刀鉾稚児社参
八坂神社に社参し、位を授かります。この日から稚児は神の使いとなります。この日より『地面に足を着けてはいけない』など、様々な決まり事の中での生活が始まります。
・7月14日 古式一里塚松飾式
かつて稚児の休憩所として利用されていた祗園床に稚児らが招かれます。
・7月17日 山鉾巡行
長刀鉾に搭乗し、注連縄切りなど、重要な任務を行ないます。
この他、祇園祭が始まる前も
報道関係の記者会見があったり
京都市長に挨拶に行ったり
稚児の家では『結納の儀』が行なわれたりと
大忙しなんですね~。
本当に、長い間お疲れ様でした!!
長刀鉾の稚児は、これにて任務終了ですが
祇園祭はまだまだ続きますっ。
詳しい日程は
祇園祭の日程一覧をチェックしてみて下さいね
そんな『お位返しの儀』が行なわれた
八坂神社の場所はコチラ↓