こんにちは
今回ご紹介するのは
10月21日に由岐神社(ゆきじんじゃ)で行われた
鞍馬(くらま)の火祭です
由岐神社は鞍馬神社の境内にあり
鞍馬寺と言えば
源義経が幼少期を過ごしたお寺として有名です。
※鞍馬寺について詳しくは、鞍馬寺 その1、鞍馬寺 その2の記事をご覧ください。
由岐神社は
割拝殿(わりはいでん)と呼ばれる
舞台造りの拝殿の中心に
石段が敷かれている
ちょっと変わった拝殿があるんですよ
※詳しくは、由岐神社の記事をご覧ください。
鞍馬街道(鞍馬寺の前を通る道)を
北と南、合わせて約1kmほど
松明や神輿が練り歩く祭です
※京都3大奇祭の1つなんですよ
火祭の始まりは
940年、世の中の平和を願い
朱雀天皇は御所に祀っていた由岐明神を
都の北側にある鞍馬の地に鎮座させました。
その時の行列は
鉾を先頭に手には松明を持ち
道中にはかがり火が焚かれ
約1kmにも及んだそうです
この儀式を後世に伝える為に
鞍馬の住人らが守ってきたのが
毎年10月22日に行われる鞍馬の火祭の起源です
それでは早速レポートしていきましょう。
夕方
鞍馬エリア周辺に到着すると
既にかがり火の準備や
剣鉾が建てられていましたよ
仁王門前には神輿が準備されていました。
建てられていた剣鉾は全部で7つありました。
上・大惣四本鉾(蝶鉾)
中・大惣四本鉾(菊鉾)
中・大惣一本鉾(菊鉾)
下・大惣四本鉾(鳳鉾)
名主四本鉾(葵鉾)
僧達四本鉾(寺鉾)
大工衆一本鉾(桐鉾)
鞍馬の火祭を取り仕切るのは
7つの住民組織
・大惣(おおぞう)仲間
・名主(みょうしゅ)仲間
・宿直(しゅくじき)仲間
・僧達(そうだち)仲間
・大工衆(だいくしゅう)仲間
・太夫(たゆう)仲間
・脇(わき)仲間
によって行われます
この7仲間の1つ
法師仲間(大惣仲間の組織)により
執り行われるそうです。
※竹伐り会式について詳しくは、竹伐り会式 2012(鞍馬寺)、竹伐り会式 2011(鞍馬寺)の記事をご覧ください。
18時になると
「神事にまいらっしゃーれ」
というかけ声と共に
祭の始まりの合図である
神事(じんじ)ぶれが行われました
神事ぶれは
鞍馬寺・仁王門前に置かれている神輿の前と
鞍馬寺より南へ400m程、進んだ所にある
下大葱(しもおおぞう)仲間
という2つの場所から出発し
神輿前から出発した神事ぶれは
鞍馬寺より北へ500mほど先にある
上大葱(かみおおぞう)仲間の所まで行きます。
下大葱仲間から出発した神事ぶれは
神輿の前まで行くんですよ
※かけ声が上がると家の前に置かれている、かがり火が焚かれていきます。
19時頃
「サイレイヤ、サイリョウ(祭礼や、祭礼の意)」という
かけ声と共に松明が鞍馬街道を練り歩きます。
トックリ(幼児用の松明)を持った幼児に始まり
その後、徐々に松明が大きくなるにつれて年齢も上がり
最後には大人用の松明である『大松明』が登場します
松明の材料は6月頃から集められ
10月頃から松明が作られます。
大きな松明は重さ100キロ以上にもなるんだそうですよ
また大人の男性が来ている衣装は
頭に巻いているのを『向こう鉢巻き』と言い
武士などが物事に挑む時の心意気を示し
腰に巻いている黒い帯は『締込み』と言い
相撲力士の強い腰と力を示し
靴下の様なものは『脚絆(きゃはん)』と言い
飛脚の速く強い足を示し
背中に南天の小枝を差しているのは
難を転ずるという意味で魔よけを示しているそうですよ
20時頃にはお旅所に剣鉾や太鼓に鉦
そして大松明が建てられ注連縄伐りが行われます。
その後、鞍馬寺の石段に松明が続々と並べられ
「サイレイヤ、サイリョウ」のかけ声と共に
100本以上の松明が集まってきます
※集まった松明は燃やされ激しく燃え盛ります!
全ての松明が集まると
「お~」というかけ声のもと注連縄が伐られ
神事が始まります。
祝詞の奏上などが行われた後
神輿を担ぎあげ
いよいよチョッペンの儀の始まりです
チョッペンの儀とは
神輿の担ぎ棒の先(チョッペン)にぶら下がり
足をVの字型に大開脚させ担がれながら
石段を降りて行く儀式で
一生に一度しか出来ず
鞍馬での成人式の名残りとも言われているそうですよ
21時40分頃
神輿が石段を下り始めます。
参道は急な為に
後ろから長い手綱を女性が引き
スピードが出るのを防ぎます
※この綱を引くと安産になると伝えられています。
そして2基の神輿が無事に参道へ到着すると
上大葱仲間へと行った後
下大葱仲間へと向かい
お旅所を目指します。
石段前からお旅所へと向かう時には
松明の中で最も美しい4つの『神楽松明』も
神輿の後に続きお旅所まで行った後
立て掛けられます
23時過ぎに氏子区域を練り歩いた神輿は
お旅所に到着し安置されます。
無事2基の神輿が安置されると
神輿の前に担ぎ手達が揃い
三顧の礼が行われます。
「サイレイヤ、サイリョウ」
の掛け声を繰り返し
「ヨーイ、ヨイ」
の掛け声の後
世話役の方たちが
「祝うて三顧で サイレイヤ サイリョウ」
という音頭を3回繰り返すと神輿の前から駆け下ります
そして祝詞奏上などの神事が行われた後
神楽松明が境内を回ります。
3週半している間に
神輿前で神楽が奉納され
鞍馬の火祭は無事に終了しました
関係者には
チョッペン酒や
スルメが振舞われていましたよ
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