今回ご紹介するのは

京都市上京区の相国寺(しょうこくじ)の塔頭


長得院(ちょうとくいん)

長得院(ちょうとくいん)です!


長得院は、相国寺の15ある塔頭の中の1つで

相国寺境内、北西に位置する場所にあります


相国寺の法堂

相国寺の法堂(はっとう)


五山文学(ござんぶんがく)で知られる

絶海中津(ぜっかいちゅうしん)の弟子

鄂隠慧奯(がくいんえかつ)が

室町時代の応永年間

(おうえいねんかん:1394~1427年)に

創建した臨済宗の寺院なんですね

※五山文学とは、禅宗の寺院で行われた漢文学の事。


創建当初は、大幢院(だいどういん)と
呼ばれていたそうですけれど
室町幕府第5代将軍である
足利義量(あしかがよしかず)が
亡くなった後、その菩提寺となり
義量の法号であった
『長得院殿鞏山道基
(ちょうとくいんでんきょうざんどうき)』
にちなんで『長得院』と改めました


江戸時代の1788年(天明8年)に起こった

天明の大火(てんめいのたいか)によって

焼失してしまいますけれど

その後、1834年(天保5年)に再建され現在に至ります


ここで足利義量についても簡単にご紹介しますと・・・


彼を一言で言うならば・・・
極端に身体が弱く
お酒を飲みすぎて死んでしまった
と、いった印象です


わずか17歳で将軍の座についた

若き義量なんですけれど

この時、お父さんの室町幕府第4代将軍

足利義持(あしかがよしもち)がまだ存命であった事や

言う事を聞かない守護達に悩まされて

思い通りにいかず、お酒に

逃げちゃったといった感じなんですね


結局、生来の虚弱体質に
お酒を飲みすぎてしまい死期を早め
19歳という若さで
この世を去ってしまいました


少し前置きが長くなってしまったようですけれど

早速、中に入っていきましょう


山門

山門


まずはこちらの山門をくぐって

境内に入ると、目の前には

緑の苔の絨毯(じゅうたん)の中に

小さな祠がありました


小さな祠

小さな祠


そして右手の方向に進んでいくと

目の前には庫裏(くり)があるんですね


庫裏(くり)

庫裏(くり)


ちなみに庫裏というのは
お坊さん達が食事の支度等を
するのに用いられる
場所の事なんですよ


庫裏の側には、『長得院』と刻まれた

石碑が建てられています。


長得院と刻まれた石碑

長得院と刻まれた石碑


その庫裏から中に入って行くんですね


こちらは庫裏の玄関にあった

華頭窓(かとうまど:または、火灯窓)から

方丈のお庭を撮った写真です


華頭窓

華頭窓


華頭窓というのは、禅宗の建築様式として
中国から伝わったもので
炎の形をしているのが特徴なんですね


華頭窓から見た紅梅

華頭窓から見た紅梅


そして庫裏から方丈へと進んでいきます!


方丈

方丈


ちなみに一般的な禅宗の方丈は
6つのお部屋があるんですけれど
図の左から檀那(だんな)の間
室中(しっちゅう)の間
礼(らい)の間となっています。


一般的な禅宗の方丈の間取

一般的な禅宗の方丈の間取


そして禅宗のお寺で一番いいお部屋は
なんといっても檀那の間です


大事なお客様をお通しした際に

こちらの部屋でくつろいでもらうんですね


ちなみに、大事な人の事を
「だんなさん!」なんて
呼ぶと思うのですけれど
実はコレここからきている
仏教由来の言葉だったんですよ~


方丈の前には、方丈庭園が広がっているんですけれど

禅宗の庭園は、やっぱり檀那の間から見た角度が

一番いい場所とされています


方丈庭園

方丈庭園


3段の段々になっているの石垣が
写真からわかると思うんですけれど
これは、お庭をより広く奥行きがあるように
錯覚させる為といわれているんですね。


また、景色の中に近代的な高い建物や電線等が無い為

創建当時と変わらない景色を見る事が出来ると

ガイドさんはおっしゃっておられました!

まるで山の中にいるような趣です


お庭の左手には冒頭でご紹介した

華頭窓から見えた

紅梅の木と灯篭がありますね♪


紅梅の木と灯篭

紅梅の木と灯篭


そしてお庭から方丈の方へ目を向けますと・・・


そこには岸派(きしは)の岸連山
(きしれんざん:岸徳(がんとく))が
描いた、52面にも及ぶ
水墨障壁画があるんですね~


こちらは礼の間に描かれている

水辺で遊ぶ虎の親子が描かれた

『水辺虎図(みずべとらず)』です!

※方丈内部は写真撮影が禁止されていますので、こちらは看板を撮ったものです。


水辺虎図(みずべとらず)

水辺虎図(みずべとらず)


ちなみに岸派というのは
岸駒(がんく)を祖とする
江戸時代後期から明治時代に活躍をした
虎や鳥獣を得意とする日本画の一派です


そして、長得院の方丈襖絵を

単独で描いた岸連山は、幕末画壇

『平安四名家(へいあんよんめいか)』

巨匠の1人として知られた岸派の3代目なんですね。


京都を中心に活躍をした岸連山の

代表作が、ここ長得院の水墨障壁画なんです


その他、室中の間に
『山水図(さんすいず)』
檀那の間には、『波涛鷲図(はとうわしず)』
衣鉢の間には、『花鳥図(かちょうず)』
が、描かれていました。


という事で今回は

相国寺の塔頭寺院である

長得院をご紹介しました


京の冬の旅 非公開文化財特別公開は

2016年3月18日まで行われていますので

ご興味のある方は足を運ばれてみてはいかがでしょうか?


長得院の詳しい場所はコチラ↓

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