今回ご紹介するのは
京都市右京区の鳴滝(なるたき)にある
![西寿寺(さいじゅじ)](2016/01/06/01/2016-01-06-3.jpg)
西寿寺(さいじゅじ)です!
西寿寺は、周山街道(しゅうざんかいどう)の
山麓にある浄土宗捨世派
(じょうどしゅうしゃせは)の尼寺で
江戸時代の1627年(寛永4年)に
袋中(たいちゅう)というお坊さんに帰依した
北出嘉兵衛が袋中を開山に迎え
念仏道場を開いたのが始まりといわれています
![西寿寺と刻まれた石碑](2016/01/06/01/2016-01-06-14.jpg)
西寿寺と刻まれた石碑
本堂を建立する際に
太陽と月、そして星が彫られた
三光石(さんこうせき)が見つかったそうで
その石の下から泉が湧き出した事から
山号を泉谷山(いずみだにやま)と
名付けたようです
![手水](2016/01/06/01/2016-01-06-11.jpg)
手水。泉谷山の由来になった水が今も枯れる事なく湧き出ています。
ここで、袋中についても少しご紹介しますと・・・
袋中は、1552年(天文21年)に
磐城国(いわきのくに・現在の福島県いわき市)に生まれ
江戸の増上寺(ぞうじょうじ)で学びました
1603年(慶長8年)に
明(みん)に渡ろうと琉球王国
(りゅうきゅうおうこく)に行き
琉球の地で渡明の船を探す傍ら
浄土宗の布教に努めたんですね~
当時の琉球国王である
尚寧王(しょうねいおう)は
袋中の為に桂林寺(けいりんじ)を建立し
深く帰依したと伝わっています
その後、袋中は
明に渡る事は叶いませんでしたけれど
帰国した後、京都の三条にある
檀王法林寺(だんのうほうりんじ)をはじめ
多くの寺院を創建
再興したと伝わっているんですね
※詳しくは、檀王法林寺の記事をご覧下さい。
さて、その袋中を開山に招いて創建された
西寿寺なんですけれど
お寺は徐々に廃れていってしまいます
そんな中、1658年(万治元年)に
5世の愚故が再興したそうですけれど
明治の初めの廃仏毀釈(はいぶつきしゃく)によって
廃寺となってしまうんですね
※廃仏毀釈について詳しくは、お別れ地蔵の記事をご覧ください。
その後、颯田本真尼
(さったほんしんに)らによって
お寺が再興されるのは
1879年(明治12年)の事だったそうです
それでは早速、中に入っていきましょう
![山門](2016/01/06/01/2016-01-06-1.jpg)
山門
こちらの山門をくぐると
右手には地蔵堂があって
![地蔵堂](2016/01/06/01/2016-01-06-2.jpg)
地蔵堂
さらに進んで石段をまっすぐ上って行くと
その先に本堂があります
![本堂](2016/01/06/01/2016-01-06-4.jpg)
本堂
本堂の中には、身の丈が約3mある事から
『丈六の弥陀(じょうろくのみだ)』
と呼ばれるご本尊の丈六阿弥陀如来坐像
(じょうろくあみだにょらいざぞう)が
安置されているんですね。
丈六阿弥陀如来坐像は
厄除けのご利益があると地元の方に
古くから信仰されているそうですよ
ちなみに丈六阿弥陀如来坐像は
円派(えんぱ)と呼ばれる仏師の一派の作で
もともとは近江国(おうみのくに:現在の滋賀県)の
甲賀郡甲南町(こうがぐんこうなんちょう)の
新宮大明神の本地仏(ほんじぶつ)だったそうです
※円派とは、平安時代中期から鎌倉時代に活躍した仏師の一派の事で、名前(仏師号)に『円』という字が付く事からこのように呼ばれました。
こちらは本堂横にある庫裏(くり)です。
![庫裏](2016/01/06/01/2016-01-06-5.jpg)
庫裏というのは、お坊さん達が
食事の支度等をするのに用いられる
場所の事なんですね
こちらは本堂の左手にある
三重石塔(さんじゅうせきとう)です!
![三重石塔(さんじゅうせきとう)](2016/01/06/01/2016-01-06-6.jpg)
三重石塔(さんじゅうせきとう)
近江国石塔寺(せきとうじ)にある
日本最大の三重石塔
『阿育王塔(あしょうかおうとう)』を
模したものなんだそうです。
そして山すそ登り、墓地の方へと進んで行くと・・・
そこにはボケ封じのご利益があるとされる
三光石神社(さんこうせきじんじゃ)があるんですね
![三光石神社(さんこうせきじんじゃ)](2016/01/06/01/2016-01-06-8.jpg)
三光石神社(さんこうせきじんじゃ)
冒頭でご紹介した三光石を
御神体として安置しているんですよ!
![西寿寺から市外を一望](2016/01/06/01/2016-01-06-9.jpg)
墓地からは市外が一望できます。
また、この他、境内には
静寂の庭という庭園があって
『三光石』『丈六』という名前の
水琴窟(すいきんくつ)がある事でも
知られています
水琴窟は、日本庭園の装飾の1つで
下に大きな空洞があり、そこに水滴を落下させれば
その水滴が『ぽちゃん』と落ちて
その音が空洞に反響し『キ~ン、キ~ン』
と音が鳴る仕組みのものです
そんな西寿寺は自然葬や桜葬、樹木葬
また、散骨が出来るお寺としても知られています。
という事で今回は右京区鳴滝にある
西寿寺をご紹介しました
最後に西寿寺は、テレビドラマのロケに
よく使われている事でも知られ
近年では、『京都地検の女』や
『信長のシェフ』等でロケ地に
選ばれているんですよ~
![梵鐘(ぼんしょう)](2016/01/06/01/2016-01-06-10.jpg)
梵鐘(ぼんしょう)
山門や石段、本堂に梵鐘、そして墓地と
いろいろな所がロケに使われていますので
どこかで見た事がある!と思うかもしれませんね
※他にも暴れん坊将軍、子連れ狼、銭形平次、遠山の金さん、必殺仕事人、水戸黄門等、数え切れない程使われています。
ご興味のある方は是非
西寿寺を訪れてみてはいかがでしょうか
西寿寺の場所はコチラ↓