今回ご紹介するのは
京都市下京区の醒ヶ井(さめがい)にある
亀屋良長(かめやよしなが)の
![烏羽玉(うばたま)](2015/10/01/01/2015-10-01-5.jpg)
烏羽玉(うばたま)です!
亀屋良長の烏羽玉は
『うばたま』や『ぬばたま』と呼ばれる
アヤメ科の多年草『ヒオウギ』の
光沢のある黒い種子を象った和菓子で
ひと月で4万個以上売れるといわれる
創業以来200年以上
ずっと作られている名物菓子なんですね
![亀屋良長(かめやよしなが)](2015/10/01/01/2015-10-01-1.jpg)
亀屋良長(かめやよしなが)
見た目がとっても綺麗で
宝石みたいに見えますよね~
チョコレートのように
見えるかも知れませんけれど
こちらは沖縄県の八重山諸島
(やえやましょとう)にある
日本最南端、波照間島
(はてるまじま)産の
黒糖を使ったこし餡を丸めて
寒天でコーティングし
上にケシの実を振りかけた
和菓子なんですよ
ちなみにヒオウギとは
祗園祭(ぎおんまつり)の際に
生けられるお茶花の事で
夏にオレンジの花を咲かせた後
袋状の実を作り、その実がはじけ
光沢のある黒い種子を見せるんですね。
その黒い種子が烏(からす)の羽の
濡れたように見える黒い羽
烏羽玉(うばたま)のように見える事から
『うばたま』や、それが訛って
『ぬばたま』ともいわれています
ちなみにぬばたまは
黒色を表す最も古い言葉ともいわれ
黒や夜にかかる和歌の枕詞としても
使われているんですよ♪
万葉集(まんようしゅう)では
「居明かして君をば待たむぬばたまの我が黒髪に霜は降るとも」
「ぬばたまの黒髪変り白けても痛き恋には逢ふ時ありけり」
「ぬばたまの夜渡る月のさやけくはよく見てましを君が姿を」
「ぬばたまの夜渡る月にあらませば家なる妹に逢ひて来ましを」
等、40首以上の和歌に使われています
![亀屋良安の入り口](2015/10/01/01/2015-10-01-6.jpg)
亀屋良安の入り口
さて、そんな烏羽玉の名を冠した和菓子を
創業以来作り続けている亀屋良長は
江戸時代の1803年(享和3年)に
菓子司(かしつかさ)として
知られていた三条通小川の
亀屋良安の番頭だった初代が
亀屋良安から暖簾(のれん)分けをして
創業を開始したお店なんですね~
※菓子司とは、宮中の御用を務めた菓子屋。明治以降、御用達。
![亀屋良安の看板](2015/10/01/01/2015-10-01-2.jpg)
亀屋良安の看板
なんでも亀屋良安が火事に遭い
焼けてしまったそうなんですね
創業にあたって初代は
名水といわれる醒ヶ井が流れていたこの場所に
お店を構えました。
※醒ヶ井について詳しくは、左女牛井之跡の記事をご覧下さい。
![亀屋良長にある醒ヶ井](2014/10/30/01/2014-10-30-4.jpg)
亀屋良長にある醒ヶ井
ちなみに京都には
亀屋○○といった名前の和菓子屋さんが
沢山あるのをご存知ですか??
清浄歓喜団(せいじょうかんきだん)の
亀屋清永(かめやきよなが)や
松風(まつかぜ)の亀屋陸奥(かめやむつ)を初め
亀屋伊織(かめやいおり)、亀屋重久(かめやしげひさ)
亀屋則克(かめやのりかつ)に亀屋廣清(かめやひろきよ)
亀屋良永(かめやよしなが)と
名前を上げ出したらきりがないようにも思います
これはかつて京都に
『五亀二鶴』と呼ばれる
5軒の亀屋と2軒の鶴屋の屋号を
持った和菓子屋があって
全てのお店が関係しているわけでは
ありませんけれど
現在の和菓子屋の多くが
これらから暖簾分け、または
何らかの関係があったお店と
いわれているんですね~
さしずめ京都の和菓子屋の
ルーツといった感じでしょうか♪
また、名前に亀や鶴といったものをつけるのは
縁起が良いとされていたんだそうですよ
![亀屋良長の亀甲形の中に良と書かれた暖簾](2015/10/01/01/2015-10-01-3.jpg)
亀屋良長の亀甲形の中に良と書かれた暖簾
さて、亀屋良長の烏羽玉を
実際に食べてみると・・・
![亀屋良長の烏羽玉](2015/10/01/01/2015-10-01-5.jpg)
亀屋良長の烏羽玉
口の中に入れると
ふわっと黒糖の風味が広がり
口の中でとろっととろけてしまうんです!
とっても上品な甘さがするんですよ
小さくてもすっごい満足感があります
![『澄懐』と書かれた額](2015/10/01/01/2015-10-01-4.jpg)
『澄懐』と書かれた額
こちらは店内に掛けられていた
『澄懐(ちょうかい)』と書かれた額です。
これは亀屋良長2代目が定めた家訓なんだそうで
懐を誰に見られてもいいように
適正な利益をあげながら
事業を継続しなさいという意味なんだそうです!
利益を上げる事は良いが
暴利をむさぼらないようにという
戒めの言葉なんだと思います
![持ち帰り用の烏羽玉の箱](2015/10/01/01/2015-10-01-7.jpg)
持ち帰り用の烏羽玉の箱
そんな亀屋良長なんですけれど
やはり商売ですから、ずーっと
順風満帆というわけにはいかず
江戸時代末期に一度
お店が衰えた事があったようなんですね。
そんな時、ある1人の老人が門の前で
『氷餅(こおりもち)』という
和菓子の作り方を教えてくれたそうで
早速氷餅を作ってみると
茶人の間で評判となり、お店は
活気を取り戻したそうです
結局、この老人が何者であったのかは
定かではありませんけれど
近くの武信神社の使いであったとされています
そんな亀屋良長では
毎年7月の第1日曜日に水祭が開かれています。
という事で今回は京都の老舗菓子屋
亀屋良長の名物、烏羽玉をご紹介しました~
亀屋良長の場所はコチラ↓