今回ご紹介するのは
京都市の中京区西ノ京原町(にしのきょうはらまち)にある
![市五郎稲荷](2014/06/25/01/2014-06-25-6.jpg)
市五郎稲荷(いちごろういなり)です!
この市五郎稲荷は
京都に築かれた『あるもの』の上に
建てられているんですよ
![市五郎大明神と書かれた額](2014/06/25/01/2014-06-25-2.jpg)
そのあるものというのは
天下人・豊臣秀吉(とよとみひでよし)が
1591年(天正19年)に
築いた御土居(おどい)の事なんです
御土居とは京都の町の一部をぐるりと
高さ3、4メートルの土塁で囲ったもので
全長は約22.5キロメートルにも及び
北は鷹ヶ峰(たかがみね)
南は九条
東は鴨川
西は紙屋川(かみやがわ)に
沿って築かれたと言われています
東西は鴨川から金閣寺辺りまでと言う
大きさだったんですね
それにしても秀吉は一体何のために
この様なものを作ったんでしょうか・・・
その理由は
軍事的なものや鴨川の氾濫に備えたものと
言われてきたんですけれど
近年の研究を見てみると
軍事的というよりも
氾濫に備えたものである方が
有力な説のような気がします♪
その理由の1つに
御土居の上には竹が植えられていたからなんです。
普通、防衛目的であれば
視界が遮られる竹などは
植えたりはしませんよね。
また、防衛の為ならば
御土居の上に櫓(やぐら)などが
作られるはずですけれど
櫓があった跡は今も見つかっていません。
そういった理由から
現在では鴨川の氾濫の際に
備えたものであるという説が
有力なんですね
鴨川の氾濫と言えば
平安時代、絶大な権力を持っていた白河上皇(しらかわじょうこう)でも
どうにもならなかったと言われていますよね。
※白河上皇でもどうにもならなかった天下三不如意(てんかさんふにょい)について詳しくは、熊野若王子神社の記事をご覧ください。
ちなみに鴨川は昭和初期の
1935年6月に多くの死者を出す
水害が発生しています。
その後、1951年7月にも鴨川が氾濫し
上賀茂、山端(やまばな・叡山電鉄修学院駅周辺)の両地域が浸水
岩倉地域が水没
正面橋、塩小路橋(しおこうじばし)が流失しているんですよ。
鴨川の氾濫は
決して大昔の事ではなく
つい最近まであった出来事なんですね(汗
その後、大規模な鴨川工事が実施されているんですけれど
鴨川はそんな暴れ川なので
またいつ大きな水害が起こるかわかりません
ちなみに秀吉は、それまで曖昧であった
洛中と洛外の境目を
はっきりさせたいと考えていたようで
御土居の内を洛中
御土居の外を洛外
と決めたそうです。
しかしこれには京都にもともと住んでいた
町の人から失笑を買ったそうで
定着しなかったと言われています。
少し前置きが長くなりましたけれど
そんな御土居跡の上に作られたのが
今回ご紹介する市五郎稲荷というわけです
ではさっそくレポートしていきましょう。
![鳥居](2014/06/25/01/2014-06-25-1.jpg)
こちらの鳥居をくぐると
参道にも鳥居がズラっとならんでいて
![千本鳥居を思い出すような鳥居](2014/06/25/01/2014-06-25-3.jpg)
雰囲気がありますね。
そしてこちらが市五郎大明神を
![お稲荷さん](2014/06/25/01/2014-06-25-6.jpg)
お祀りするお稲荷さんです。
ご祭神は市五郎大明神と
市助稲荷大明神をお祀りしているそうですよ。
また、御神体は狸像を安置しているらしく
大変珍しいものとなっています
![石碑](2014/06/25/01/2014-06-25-5.jpg)
創建については明治の初め頃
岡崎に住んでいた北村利幾子(きたむらりきこ)という方が
ご神託を受けて御土居の上に祠を建て
市五郎大明神をお祀りしたのが始まりなんだそうです
![市五郎大明神](2014/06/25/01/2014-06-25-7.jpg)
そして参道はさらに上まで続いていて
そちらにも多くの摂末社とならんで
市五郎大明神がお祀りされていました。
市五郎稲荷は
御土居に作られた事から
土居稲荷やお土居稲荷とも
呼ばれる事もあるそうですよ
また毎年11月8日には
お火焚祭が行われているそうです。
![史蹟 御土居と書かれた石碑](2014/06/25/01/2014-06-25-4.jpg)
ちなみに今回ご紹介した御土居跡は
国指定史跡として指定されています!
御土居の指定史跡は全部で9ヶ所あり
詳しい場所は以下のとおりです。
北区紫竹上長目町・堀川町
北区大宮土居町
北区鷹峯旧土居町2番地
北区鷹峯旧土居町3番地
北区紫野西土居町
北区平野鳥居前町
上京区北之辺町
上京区馬喰町
中京区西ノ京原町(こちらが今回の市五郎稲荷がある場所です。)
そんな鴨川の氾濫から守る為に作られた
御土居の上に建つ市五郎稲荷の場所はコチラ↓
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