今回ご紹介するのは・・・
古都・京都ゆかりの言葉です
今でも使われる『言葉』の語源には
1200年の歴史を持つ京都ゆかりのものが
多数、存在しています。
今回は、そんな『京ゆかりの言葉』を
いくつかご紹介させていただきます
・風呂敷(ふろしき)
今でも何かと重宝する風呂敷っ。
可愛い柄のモノも多く、利用している人は多いと思います!
そんな『風呂敷』の語源ですが、みなさんも
・・お風呂と何か関係あるのかな??くらいは想像がつくのではないでしょうか。
しかし、この風呂敷は語源に関しては、ちょっと複雑なんですねっ。
時は室町時代!
当時のお風呂は今とは違い『蒸し風呂』のようなものでした。
こちらは妙心寺にある蒸し風呂です。一番下からくぐって中に入ります。この床下に熱いお湯を流し、その湯気を利用していました。
この蒸し風呂で『風呂敷』が使われたと言われ
もともと、床に敷かれていた布の事を指す言葉だったんですね~!
じゃぁ、モノを包むようになったのは?と言うと
当時から、衣類を包む為の布は別の存在していたのです
それが・・平包(ひらづつみ)と呼ばれる布です
資料として残っているものだと
室町幕府3代将軍・足利義満(あしかがよしみつ)が
大湯殿(おおどのゆ)を建てた際に
これを利用する大名達が、他の人の着物と間違えないように
家紋入りの布で、脱いだ衣類を包んだとされているんですね。
これが平包なのです。
※この大湯殿は、彼の邸宅『室町殿(むろまちどの・花の御所)』にあったとされています。
その後、江戸時代になると
お風呂も蒸し風呂から、現在のスタイルに変化し
衣類を、床に敷いていた『風呂敷』は無くなったのですが
それまでの平包が『風呂敷』と呼ばれるようになり
一般に定着するようになったそうですよっ。
・おあいそ
お店で料理を食べた時、清算(お勘定)の際に
「おあいそしてもらえますか?」なんて言いますよね。
これは、なんと!
もともと京都で使われていた言葉だと言われているのですっ。
明治時代中期、雑誌『風俗画報』の中で
京都で流行っている言葉として
『お勘定の事を「おあいそ」などと言うようだ。なんだかユニークですね。』
なんて記事が書かれたそうです。
つまり、現在の「おあいそしてもらえますか?」という言葉は
京都の人が流行らせたというワケです
ちなみに、この『おあいそ』は漢字で書くと『お愛想』です。
それまでは、お店側がお客さんに対して
「せっかく来ていただいたのに、愛想がなくて申し訳ありません。」
という意味で、お勘定の際に言っていた言葉が
徐々に簡略化され、『おあいそ』と言いながら
お客さんの勘定を計算したそうです
江戸時代後期より創業を続ける「一本うどん」の名店『たわらや』でも、当時流行した『おあいそ』が使われていたかもしれませんね。一本うどんについてはたわらやの記事をご覧下さい。
これが後に・・・
お客さん自らが、勘定をして欲しいタイミングで
「おあいそ」と言い出したのが京都の人たちだったそうです。
これが、先ほどの『風俗画報』で伝えられた記事というワケなんですよ~っ
・源氏名(げんじな)
水商売などで使われる『源氏名』ですが
これの語源は、紫式部の書いた『源氏物語』に由来するんですね。
では、『源氏名』は、もともと
いつ、ドコで使われていたのか?と言うと・・・
平安時代より宮中にて使用されていたそうです!!
では、誰に『源氏名』を付けたのか・・・
それは、宮中で働く女官たちだったんですねっ。
源氏物語は54からなる章に分けられているのですが
それぞれの章のタイトル(題名)を女官に付けて呼んでいたそうです。
これが源氏名の起源のようです。
こちらは紫式部の邸宅跡に建てられた廬山寺(ろざんじ)です。廬山寺については廬山寺 その1、廬山寺 その2を、源氏物語については源氏物語ゆかりの地巡りの記事をご覧下さい。
つまり・・・宮中の女官たちを
『桐壺(きりつぼ)』『夕顔(ゆうがお)』『浮舟(うきふね)』なんて
名前で呼んでいたって事です
ちなみに、54のタイトルの多くが
源氏物語に登場する人物の名前ですから
当時の女官をその女性に例えて呼んでいたのだと思われますっ
なんか、そう考えるととってもユニークですよねっ。
・急がば回れ(いそがばまわれ)
急ぐからといって慣れない道を選ぶのでなく
そんな時こそ、遠回りでも安全な道を選びなさい・・という意味の言葉ですが
これも、実は具体的な故事が存在します。
室町時代、滋賀県の草津から京都に向かう際に
琵琶湖の沿岸をぐるっと回るよりも、湖上を船で通った方が早いと言われていました
しかし!この航路の場合、比叡山から吹き下ろされる突風によって
船が度々転覆するという危険があったものだったんですね。
こちらは、その比叡山に建つ有名な寺院『延暦寺(えんりゃくじ)』です。延暦寺に関して詳しくは延暦寺(東塔)、延暦寺(西塔)、延暦寺(横川)の記事をご覧下さい。
この事から
いくら近くて早いからといって航路を選んで事故にでも遭ったら遅くなる。
なので、少し遠回りだが安全な陸路を選んで京都を目指しましょう
と歌われた事が『急がば回れ』の語源となっているそうですよっ
という事で、京ゆかりの言葉をご紹介させていただきました。