今回ご紹介するのは誓願寺(せいがんじ)で行なわれた・・・

誓願寺

和泉式部忌法要(いずみしきぶきほうよう)です


平安時代の歌人であり、恋多き女として知られる

和泉式部(いずみしきぶ)が

一時期、身を寄せたと言われる誓願寺において

毎年、6月第2日曜日に彼女の法要が行なわれます

誓願寺で行なわれる和泉式部忌法要は近年始まったものです。この他、すぐ近くの誠心院でも、3月に和泉式部忌が行なわれています。詳しくは和泉式部忌 2012(誠心院)の記事をご覧下さい。


和泉式部忌法要

この日は謡曲(ようきょく)『誓願寺』の奉納も行なわれます。


和泉式部は、百人一首にも歌が収録され

歌人としては一流ですが

紫式部には「恋文や和歌は素晴らしいが、素行には感心できない。」

と言われ・・

藤原道長(ふじわらみちなが)からは

「浮かれ女」と呼ばれていたそうで

数々の男性と浮世を流したと言われ

生涯において、少なくとも4人の男性を愛したそうですよ

※ちなみに、当時は和泉式部だけでなく、他の女性も恋愛遍歴が多く、そういう時代だったと言われています。和泉式部について、詳しくは和泉式部ゆかりの地巡りの記事をご覧下さい。


では、そんな彼女を偲ぶ

和泉式部忌法要をレポートしたいと思います!


まずは13時半より

本尊・阿弥陀如来坐像(あみだにょらいざぞう)の前で

お経が読み上げられます


和泉式部忌法要

こちらの巨大な阿弥陀如来の前に

お坊さんが並んで座ると、より厳かに見えちゃいますね

何度も、こちらの阿弥陀如来は見ていますが

毎回、その大きさに圧倒されます。

※資料によると、高さは4.85メートルもあるそうです。


約20分程、お経が読み上げられ

途中で散華(さんげ)なども行なっていましたよ

※散華は花びらを模した型紙です。お経を読みながら、何枚もこれを周囲に撒いて供養するそうです。


木魚やお鈴(りん・チーンとなるヤツですね)の音が堂内に

鳴り響く中、何度も『南無阿弥陀仏』と唱えられていました。

謡曲『誓願寺』

続いて、13時50分より

謡曲の奉納が行なわれます!

※謡曲とは『能』の歌の部分だけを表現したもです。ですので、能でありながら『お面』も付けていなければ『舞』なども行ないません。


ちなみに演目は・・

和泉式部にゆかりのある『誓願寺』です

これは、和泉式部と一遍上人(いっぺんしょうにん・鎌倉時代中期の僧)

による誓願寺を舞台にしたお話で

一遍上人により

「誰でも南無阿弥陀仏と唱えれば必ず往生できるのです」

と説かれた女(和泉式部の化身)が、やがて

『歌舞の菩薩(極楽浄土で歌や舞を演じる菩薩)』となって

誓願寺の本尊でもある阿弥陀如来などを引き連れて

再び彼の前に現れるというストーリーです

※一遍上人は、踊念仏で仏教を民衆に広く説いた僧で、別名『遊行上人』と言われています。詳しくは長楽寺 その1の記事をご覧下さい。


このお話を聞くと

和泉式部はなかなか成仏出来ず、その魂が一遍上人のもとに

現れたのかな?と思いますよね。

これは彼女の終生がベースとなっているからではないでしょうか?


和泉式部は

最後の夫となった平井保昌(ひらいやすまさ)と

復縁が出来ない状態で、同時に最愛の娘まで無くし

悲しみの渦中で誓願寺に籠もり

後に尼となって余生を過ごしたと言われているんですね

※和泉式部の生涯については、和泉式部ゆかりの地巡りをご覧下さい。


ちなみに、この作品は

室町時代初期の猿楽師で、現在の能の大成者である

世阿弥(ぜあみ)によって書かれたもので

歌や舞を演じる菩薩となった和泉式部や

作品の舞台となった誓願寺

以後、能楽をはじめとして

舞踊・芸能の世界で尊崇されたと言われています


扇塚

この事から境内には扇塚(おおぎづか)が建てられ

本堂には、芸道に生きる人たちの願いが書かれた扇子が

ズラリと並んでいます


こうして謡曲『誓願寺』が無事に奉納され

14時半頃に和泉式部忌法要は終了しました

そんな誓願寺の場所はコチラ↓


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