今回ご紹介するのは
2月22日に京都市木津川市の
涌出宮(わきでのみや)で行われました
居籠祭(いごもりまつり)・饗応の儀(あえのぎ)です!
涌出宮で行われている
居籠祭は、『涌出宮の宮座行事』として
国の重要無形民俗文化財に
登録されているんですね~
ちなみに居籠祭の起源は諸説あって
いろいろといわれがあるんですね
1番良く知られているものとしては
崇神天皇(すじんてんのう:第10代天皇)に
謀反を起こして討ち取られた
武埴安彦命(たけはにやすひこのみこと)に
由来するというものです
武埴安彦が討ち取られた後
村では悪い病が流行し
それを死者の祟りであると考えた村人達は
忌みこもって祈祷をしたんですね
それが『いごもり』という名前に
つながっているそうですよ
その他にも、近くの鳴子川上流の山から来た
大蛇に由来するものもあります
村人を大変困らせた大蛇は
村人らの義勇隊によって退治され
その大蛇の霊をいごもって鎮めたとも
いわれているんですね
そんな涌出宮の居籠祭は
いくつもの神事で構成されていて
日数も2日間にわたって行われています!
※以前は、3日間にわたって行われていました。
大まかな神事は以下の通りです。
1日目
・『野塚神事(のづかしんじ)』
・『門の儀(かどのぎ)』
2日目
・『饗応の儀』
・『御田の式(おんだのしき:お田植祭)』
・『御供炊き神事(ごくたきしんじ)』
※野塚神事、御供炊き神事は『他見をはばかる神事』で見てはいけないとされています。
さて、今回ご紹介するのは
居籠祭の2日目に行われる『饗応の儀』です!
饗応(きょうおう)と書いて
『あえ』と読むんですよ
ちなみにこの『饗(あえ)』とは
古い言葉で食べ物を指す言葉のようです
という事は食を設けて
おもてなしをするというワケですよね
それでは早速レポートしていきましょう
午後14時頃に涌出宮に着くと
拝殿では、すでに宮座の方達が
席についていました
まずは本殿でお祓いをして
祝詞(のりと)が奏上されます
その後、本殿では
前日の『門の儀』の時と同じように
『ソノイチ』と呼ばれる巫女の
神楽舞が奉納されます
舞が奉納されると
拝殿にソノイチが移動し
宮座の方達を鈴の音でお祓いをする
鈴祓いを行っていました
鈴祓い
さて、居籠祭の饗応の儀では
中央に古川座(ふるかわざ)の方達が
素襖(すおう)という服装で座り
左側には裃姿(かみしもすがた)の尾崎座が
そして右側には同じく裃姿で歩射座の方達が
座っています。
※素襖とは大名が着ていた大紋とよく似た装束の事です。
そしてこれらの宮座の方達を
古式にのっとって、おもてなしするのが
与力座(よりきざ)の方達なんですね
古川座は、涌出宮のご祭神が
伊勢よりこの地にご遷座された際に
お迎えした方達の末裔といわれています
そしてその警護に当たったとされているのが
歩射座の方達なんですよ
また、ご祭神がご遷座した際に
神事を助けたのが尾崎座といわれています。
まずは樫(かし)の枝を
各宮座の方達の前に運んでいき
葉をもぎ取ってもらいます
各宮座の方達は
もぎ取った葉で体の穢れ(けがれ)を祓っていました
これはどういう事なのかと言いますと
皆さんが神社に行かれた際
最初に手水で手や口を清めると思います。
この樫の葉で祓う行為は
その手水で清める事の原型ではないかと
言われているんですね~
そしてその次に運ばれてくるのが
台形の形に盛ったご飯です
これを与力座の方から手で受け取り頂きます。
次に御神酒が宮座の方達に運ばれると
三三九度(さんさんくど)の形式で飲みます。
続いて運ばれてくるのが
『柿なます、かす汁、ごまめ、大豆』が乗ったお膳です。
これは中世のご馳走を再現しているんだそうですよ
ちなみに、ごまめが乗っているかわらけは
木津川市の登録文化財に指定されている
貴重な物なんです♪
1991年から92年(平成3~4年)に行われた
社務所の建て替えの際に出土したもので
南北朝時代(1336~1392年)の物といわれているんですね
つまり南北朝時代に行われた
饗応の儀で実際に使用された物というワケです!
当時は、使ったかわらけを土の中に埋めていたそうで
それで見つかったという事なんですね~
そんな貴重な物を使っているなんて
それだけでドキドキしてしまいますよね~
その後、『京めし』と呼ばれるご飯と
お汁を運んできます
饗応の儀のお膳
これで饗応の儀はお開きとなり
お膳に配られたものは
皆さん袋に詰めて持ち帰るようでしたよ
御田の式までの様子はコチラをご覧ください。
そしてこの後、居籠祭は
御田の式(おんだのしき:お田植祭)へと
移っていきます
御田の式は
稲作の作業を演じるもので
五穀豊穣を祈って行われるんですね♪
まずは拝殿の中に田舟を運び込み
『ボーヨ』と呼ばれる牛役の子供が舟の紐を引き
板元が樫の葉にご飯を盛った丸い桶を掲げ
拝殿内を田舟を持って左回りに3度回ります
これは湿地帯に田舟を使って
種を蒔いていた様子を表しているようですよ
続いて宮司の方が
鍬を持って古川座の前に置かれた扇の上に
種籾(たねもみ)を落として回ります。
扇の上にバラバラと良い音が
響いていました
次に古川座の方達に
先ほど板元が持っていた樫の葉にご飯を乗せた
扇の上に置かれた御供
御供が運ばれます。
そして次に行われるのが牛役の『ボーヨ』と
『ソノイチ』と呼ばれる巫女
そしてソノイチに従う『トモ』の3人で
お田植えの様子を再現したものなんですね
この田植えの様子は
饗応の儀の中で最も人気があるんですよ
白紙で巻かれた松苗をゆっくり
植えていく様子が演じられます
ちなみにこの松苗は
一般の方にも配られていました♪
その後、お田植えが終わると
扇の上に榊の『おかぎ』が配られ
再び宮司が種籾を蒔いて
樫の枝から葉を取り体を祓います。
その後、与力座の代表者の方の挨拶や
宮司さんの挨拶があり
饗応の儀はお開きとなります。
残りの神事の様子はコチラをご覧ください。
境内では
勧請縄
勧請縄を与力座の方たちが
四脚門に飾りつけていました。
この勧請縄は前日の
午前中に作られていたようです♪
竹で作った弓矢が
竹の弓矢
結び付けられていましたよ~
ちなみに去年の勧請縄は
饗応の儀が行われた夜
御供炊き神事で燃やされるそうです。
というわけで今回は
居籠祭の饗応の儀をご紹介しました♪
居籠祭の饗応の儀が行われた
涌出宮の場所はコチラ↓