今回ご紹介するのは
2月22日に京都市木津川市の
涌出宮(わきでのみや)で行われました
![居籠祭(いごもりまつり)・饗応の儀(あえのぎ)](2015/02/24/01/2015-02-24-10.jpg)
居籠祭(いごもりまつり)・饗応の儀(あえのぎ)です!
涌出宮で行われている
居籠祭は、『涌出宮の宮座行事』として
国の重要無形民俗文化財に
登録されているんですね~
ちなみに居籠祭の起源は諸説あって
いろいろといわれがあるんですね
1番良く知られているものとしては
崇神天皇(すじんてんのう:第10代天皇)に
謀反を起こして討ち取られた
武埴安彦命(たけはにやすひこのみこと)に
由来するというものです
武埴安彦が討ち取られた後
村では悪い病が流行し
それを死者の祟りであると考えた村人達は
忌みこもって祈祷をしたんですね
それが『いごもり』という名前に
つながっているそうですよ
その他にも、近くの鳴子川上流の山から来た
大蛇に由来するものもあります
村人を大変困らせた大蛇は
村人らの義勇隊によって退治され
その大蛇の霊をいごもって鎮めたとも
いわれているんですね
そんな涌出宮の居籠祭は
いくつもの神事で構成されていて
日数も2日間にわたって行われています!
※以前は、3日間にわたって行われていました。
大まかな神事は以下の通りです。
1日目
・『野塚神事(のづかしんじ)』
・『門の儀(かどのぎ)』
2日目
・『饗応の儀』
・『御田の式(おんだのしき:お田植祭)』
・『御供炊き神事(ごくたきしんじ)』
※野塚神事、御供炊き神事は『他見をはばかる神事』で見てはいけないとされています。
さて、今回ご紹介するのは
居籠祭の2日目に行われる『饗応の儀』です!
饗応(きょうおう)と書いて
『あえ』と読むんですよ
ちなみにこの『饗(あえ)』とは
古い言葉で食べ物を指す言葉のようです
という事は食を設けて
おもてなしをするというワケですよね
それでは早速レポートしていきましょう
午後14時頃に涌出宮に着くと
拝殿では、すでに宮座の方達が
席についていました
まずは本殿でお祓いをして
![お祓い](2015/02/24/01/2015-02-24-1.jpg)
祝詞(のりと)が奏上されます
![祝詞奏上(のりとそうじょう)](2015/02/24/01/2015-02-24-3.jpg)
その後、本殿では
前日の『門の儀』の時と同じように
『ソノイチ』と呼ばれる巫女の
神楽舞が奉納されます
![ソノイチによる神楽舞](2015/02/24/01/2015-02-24-4.jpg)
舞が奉納されると
拝殿にソノイチが移動し
宮座の方達を鈴の音でお祓いをする
鈴祓いを行っていました
![鈴祓い](2015/02/24/01/2015-02-24-5.jpg)
鈴祓い
さて、居籠祭の饗応の儀では
中央に古川座(ふるかわざ)の方達が
素襖(すおう)という服装で座り
左側には裃姿(かみしもすがた)の尾崎座が
そして右側には同じく裃姿で歩射座の方達が
座っています。
※素襖とは大名が着ていた大紋とよく似た装束の事です。
そしてこれらの宮座の方達を
古式にのっとって、おもてなしするのが
与力座(よりきざ)の方達なんですね
古川座は、涌出宮のご祭神が
伊勢よりこの地にご遷座された際に
お迎えした方達の末裔といわれています
そしてその警護に当たったとされているのが
歩射座の方達なんですよ
また、ご祭神がご遷座した際に
神事を助けたのが尾崎座といわれています。
まずは樫(かし)の枝を
各宮座の方達の前に運んでいき
葉をもぎ取ってもらいます
![樫(かし)の枝を取ってもらう様子](2015/02/24/01/2015-02-24-6.jpg)
各宮座の方達は
もぎ取った葉で体の穢れ(けがれ)を祓っていました
これはどういう事なのかと言いますと
皆さんが神社に行かれた際
最初に手水で手や口を清めると思います。
この樫の葉で祓う行為は
その手水で清める事の原型ではないかと
言われているんですね~
そしてその次に運ばれてくるのが
台形の形に盛ったご飯です
![台形の形に盛ったご飯](2015/02/24/01/2015-02-24-7.jpg)
これを与力座の方から手で受け取り頂きます。
次に御神酒が宮座の方達に運ばれると
三三九度(さんさんくど)の形式で飲みます。
![御神酒](2015/02/24/01/2015-02-24-8.jpg)
続いて運ばれてくるのが
『柿なます、かす汁、ごまめ、大豆』が乗ったお膳です。
![お膳](2015/02/24/01/2015-02-24-10.jpg)
これは中世のご馳走を再現しているんだそうですよ
ちなみに、ごまめが乗っているかわらけは
木津川市の登録文化財に指定されている
貴重な物なんです♪
1991年から92年(平成3~4年)に行われた
社務所の建て替えの際に出土したもので
南北朝時代(1336~1392年)の物といわれているんですね
つまり南北朝時代に行われた
饗応の儀で実際に使用された物というワケです!
当時は、使ったかわらけを土の中に埋めていたそうで
それで見つかったという事なんですね~
そんな貴重な物を使っているなんて
それだけでドキドキしてしまいますよね~
その後、『京めし』と呼ばれるご飯と
お汁を運んできます
![饗応の儀のお膳](2015/02/24/01/2015-02-24-11.jpg)
饗応の儀のお膳
これで饗応の儀はお開きとなり
お膳に配られたものは
皆さん袋に詰めて持ち帰るようでしたよ
御田の式までの様子はコチラをご覧ください。
そしてこの後、居籠祭は
御田の式(おんだのしき:お田植祭)へと
移っていきます
御田の式は
稲作の作業を演じるもので
五穀豊穣を祈って行われるんですね♪
まずは拝殿の中に田舟を運び込み
![田舟を引くボーヨ](2015/02/24/01/2015-02-24-12.jpg)
『ボーヨ』と呼ばれる牛役の子供が舟の紐を引き
板元が樫の葉にご飯を盛った丸い桶を掲げ
![樫の葉に盛った御供(ごく)](2015/02/24/01/2015-02-24-13.jpg)
拝殿内を田舟を持って左回りに3度回ります
これは湿地帯に田舟を使って
種を蒔いていた様子を表しているようですよ
続いて宮司の方が
鍬を持って古川座の前に置かれた扇の上に
種籾(たねもみ)を落として回ります。
![種籾を落とす様子](2015/02/24/01/2015-02-24-14.jpg)
扇の上にバラバラと良い音が
響いていました
次に古川座の方達に
先ほど板元が持っていた樫の葉にご飯を乗せた
![扇の上に置かれた御供](2015/02/24/01/2015-02-24-15.jpg)
扇の上に置かれた御供
御供が運ばれます。
そして次に行われるのが牛役の『ボーヨ』と
『ソノイチ』と呼ばれる巫女
そしてソノイチに従う『トモ』の3人で
お田植えの様子を再現したものなんですね
![お田植えの様子](2015/02/24/01/2015-02-24-16.jpg)
この田植えの様子は
饗応の儀の中で最も人気があるんですよ
白紙で巻かれた松苗をゆっくり
植えていく様子が演じられます
ちなみにこの松苗は
一般の方にも配られていました♪
![松苗](2015/02/24/01/2015-02-24-17.jpg)
その後、お田植えが終わると
扇の上に榊の『おかぎ』が配られ
再び宮司が種籾を蒔いて
樫の枝から葉を取り体を祓います。
![樫の枝](2015/02/24/01/2015-02-24-18.jpg)
その後、与力座の代表者の方の挨拶や
宮司さんの挨拶があり
饗応の儀はお開きとなります。
残りの神事の様子はコチラをご覧ください。
境内では
![勧請縄](2015/02/24/01/2015-02-24-19.jpg)
勧請縄
勧請縄を与力座の方たちが
四脚門に飾りつけていました。
![勧請縄を四脚門に飾りつける様子](2015/02/24/01/2015-02-24-21.jpg)
この勧請縄は前日の
午前中に作られていたようです♪
竹で作った弓矢が
![竹で作った弓矢](2015/02/24/01/2015-02-24-20.jpg)
竹の弓矢
結び付けられていましたよ~
ちなみに去年の勧請縄は
饗応の儀が行われた夜
御供炊き神事で燃やされるそうです。
というわけで今回は
居籠祭の饗応の儀をご紹介しました♪
居籠祭の饗応の儀が行われた
涌出宮の場所はコチラ↓