今回ご紹介するのは京都市北区の
千本鞍馬口(せんぼんくらまぐち)にある
歯形地蔵(はがたじぞう)です!!
※近くには上品蓮台寺(じょうぼんれんだいじ)があります。
明治の初め頃までは
鞍馬口通りには小さな小川が
北向きに流れていた事から
逆さ川(さかさがわ)と呼ばれていたそうですよ。
ちなみに京都市内は北へ行くほど
上りになっているので
なんとも不思議な川だったんですね
千本通りには橋が架けられ
その橋のたもとに安置されていたのが
当時は逆さ川地蔵(さかさがわじぞう)と呼ばれていた
歯形地蔵なんです。
※逆さ川は現在、埋め立てられて現存していません。その際に逆さ地蔵も現在地に移されたそうです。
逆さ川の橋のたもとにあった事から
逆さ川地蔵と呼ばれていたみたいなんですけれど
ある事があってから
歯形地蔵と呼ばれるようなったそうなんですね
そのある事というのは・・・
鞍馬口通りに、まだ川があった頃
近くに若い夫婦が住んでいたそうです。
夫は大工で、近所にも評判の働き者でした。
妻は、そんな真面目で評判の良い夫なので
他の女性にとられるかもしれないと
毎日浮気の心配をしていたそうです。
どれ程、妻が心配していたのかと言いますと
なんと
夫の帰りが遅いと出先まで迎えに行く程だったそうですよ!
それほどまで良い旦那さんだったんですね。
そんなある日、夕方から雨が降って来たので
妻が夫を心配して傘を持って迎えにいくと・・・
なんと向こうから夫が
美しい女性と相合傘で歩いてくるじゃありませんか
「人の気も知らないで、いまいましい!」
と妻は逆上し、夫に掴みかかるんですね~
夫は妻の姿に驚き
橋のたもとに安置されていた
お地蔵さんの陰に隠れます。
旦那さんがお地蔵さんの後に隠れるくらいですから
きっと鬼の形相だったんでしょうね
そして次の瞬間、妻は
「ガブリっ!!」
と・・・夫に噛み付くつもりが
なんと!お地蔵さんに噛み付いてしまいました!
しかも、噛み付いた歯が
お地蔵さんの肩に食い込んで離れなくなったそうです
いったいどれほどの力で噛み付いたら
そんなになるの~
お地蔵さんは3体安置されていて、真ん中が歯形地蔵です。一説には阿弥陀如来坐像であるとも言われています。
そこに偶然、通りかかったお坊さんが
その姿を見てあまりにも気の毒だということで
お経を読んで助けたと言われているんですけれど・・・
しかし妻は
そのまま亡くなってしまってしまうんですね
こういった話が伝わり
いつの頃からか
逆さ川地蔵を歯形地蔵と呼ぶようになったそうです。
今でもお地蔵さんの左肩には
うっすらと歯型のような跡が残っているそうなので
気になった方は訪れてみてはいかがでしょうか
また、このお地蔵さんは
夫の身代わりになった事から
歯痛平癒の信仰があるんだそうですよ。
※歯痛平癒の場所はその他にも、白山神社やぬりこべ地蔵、歯神之社(はがみのやしろ)、東寺の夜叉神(やしゃがみ)などがあります。ぬりこべ地蔵について詳しくは、歯供養 2012(ぬりこべ地蔵)の記事をご覧ください。
ちなみに江戸時代中頃には
洛陽四十八願所地蔵巡りの
第18番札所になっていたみたいです
※洛陽四十八願所地蔵巡りとは、六地蔵以外で四十八ヶ寺の地蔵を順番に回って拝むというものです。
歯ノ地蔵尊と書かれた提灯
地元の方によれば
伝わっている話は女性を戒めるためのものであったと
言われているそうなんですけれど
逆に男性を戒めているのではないでしょうか
「妻を大事にしないと
大変な目に遭うぞ!」って
語りかけている気がしたのは
気のせいでしょうか
そんな話が伝わる歯形地蔵の場所はコチラ↓
より大きな地図で 歯形地蔵無題 を表示