今回ご紹介するのは

田辺朔朗博士像

田辺朔朗(たなべさくろう)博士像です。


田辺朔朗はいったいどんな人物だったのかといいますと

あの琵琶湖疏水を作った人なんですね~


琵琶湖疏水とは

滋賀から京都へ

琵琶湖の水を運び込む

水路の事です。


ちなみに南禅寺にあるレンガ造りの水路閣は

琵琶湖疏水のときに

作られたものなんですよ

水路閣

この水路閣を設計したのも

田辺朔朗です!


それでは

田辺朔朗についてご紹介していきましょう


彼は1861年、徳川家に仕える幕臣

田辺孫次郎(たなべまごじろう・洋式砲術家)の長男として

江戸で生まれます。


その後、工部大学校(のちの東大)に行き

卒業論文で

『琵琶湖疏水工事遍』

を書きます。


その論文を書くにあたって

実地検査の為、訪れた京都で

聞き手である右手に

怪我を負ってしまったそうですよ。


しかし彼は

論文を仕上げるために

左手だけで書き上げたというんですから

すごい話ですよね


顕彰碑

そんな彼が21歳のとき

転機は突然訪れました。


なんと第3代京都府知事である

北垣国道(きたがきくにみち)が

田辺朔朗の卒業論文を目にし

彼を琵琶湖疏水事業の総責任者に抜擢します。


実はこの頃、京都は

明治維新による

事実上の東京遷都で

活気が無く、沈みきっていました。


そんな京都に

再び活力を取り戻そうと

北垣国道は

琵琶湖疏水事業を計画するんですね

※琵琶湖疏水事業の構想は古く、豊臣秀吉の頃からあったと言われています。

 

しかしこの計画

予算が、当時の国の土木予算をはるかに超えていました


国の土木事業の予算が100万円くらいなのに

琵琶湖疏水事業は、なんと125万円!


そんな大金・・・

とても工面出来ませんよね


しかし議会は市民に税金をかけてでも

計画を進めると決定していたそうで

1885年に着工となりました。


実際、そのお金の多くを

京都市民が負担したそうですよ。


事業の予算も驚きですけれど

そんな大事業の総責任者を

当時21歳の田辺朔朗に決めたのも

凄い事ですよね~


しかもこの工事

簡単なものではありませんでした。


長等山(ながらやま・滋賀と京都の県境にある山)第一トンネルは

長さが2436メートルもあり

当時の日本ではそんなに長い

トンネル工事の経験は無かったと言われています。


さらに言えば

それをほとんど人力だけで掘るんです!

はっきり言って無謀ですよね

当時も反対意見が多数あったそうですよ。


そこで田辺朔朗は

竪坑(たてこう・シャフト)利用による工法を採用すると

決めます。

※竪坑とは、地表から垂直または垂直に近い傾斜で掘り下げた坑道の事。


具体的には

長等山第一トンネルの中間点に竪坑を掘って

東西の入り口に向かってトンネルを掘っていくというもの。

これをすると、4ヶ所から同時に作業をすることができ

工程の短縮が図れます。


そして遂に

着工から5年後の1890年

琵琶湖疏水は完成するんですね


しかも琵琶湖疏水には

すごい副産物があるんですよ!


それは・・・

電気!!!


工事の途中

アメリカで世界初の水力発電が報じられると

田辺朔朗は

高木文平(たかぎぶんぺい・教育者、京都商工会議所初代会長)とともに

すぐに視察し、水力発電を取り入れます。


水力によって電気を発電するというものですよね


そして完成したのが蹴上発電所です!


この蹴上発電所は

日本で初めての水力発電施設で

その後の水力発電の先駆けとなりました。


さらにさらに!

この電力によって

日本最初の路面電車の運行が

実現するんですね~

田辺朔朗博士

凄すぎます、田辺朔朗博士!


つまり琵琶湖疏水によって

京都に運び込まれたものは

琵琶湖の水だけでは無く

近代化も運び込まれたというわけですね


しかし

琵琶湖疏水が完成するまでに

多くの殉職者を出してしまいます。


彼は殉職者17名の為に

私費で第1疏水殉職者慰霊碑を建てたんですよ。


そこには

『一身殉事萬戸霑恩(いっしんことにじゅんずるはばんこおんにうるおい)』

と書かれています。


疎水事業で殉じた人たちにより

多くの家庭が恩恵を受けている

という意味だそうです


田辺朔朗はその後も

多くの大事業をやり遂げ

1944年、82才で生涯を閉じました。


そんな田辺朔朗博士像があるのはコチラ↓


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