今回ご紹介するのは
蹴上(けあげ・京都市東部、山科区との境目付近)にある
一風変わったレンガ造りのトンネル・・・
![ねじりまんぽ](2013/11/13/01/2013-11-13-3.jpg)
『ねじりまんぽ』ですっ
なかなかユニークな名前のトンネルですよね。
では、一体ドコが変わっているのか
早速、その目で見ていただきましょう~!
![ねじりまんぽ](2013/11/13/01/2013-11-13-5.jpg)
どんっ。
いかがですか・・・
完全にねじれちゃってますよね!!!!
この螺旋状に組まれたレンガ・・・独特ですよね。
実際に中を通ってみると分かるんですが
どんどん奥に吸い込まれていきそうになっちゃいます
でも、どうしてこんなにねじれているのか?
これにはもちろん理由がありますっ。
このトンネルの上には線路が通っているのですが
通常のトンネルであれば
上を通る線路に対して垂直に道(トンネル)を通します。
しかし、この『ねじりまんぽ』は上の線路に対して
道(トンネル)が斜めに交差してるんですね
こういった場合、ねじったような形でレンガを積む事で
負荷を軽減し、強度のあるトンネルが作れるそうで
この事から、このようにねじれちゃってるワケなんです~
![ねじりまんぽ](2013/11/13/01/2013-11-13-4.jpg)
こちらはトンネル北側になります。
ちなみに『ねじりまんぽ』とはこの蹴上にあるトンネルの固有名詞ではなく
こうした技法で作られたトンネル全てを指す言葉なんです。
このトンネルが作られた明治期には
同様の『ねじりまんぽ』がいくつも作られたそうで
現在でも関西を中心に多数残っているそうですよ。
ちなみに『ねじりまんぽ』は、ねじれた『まんぽ』という意味で
『まんぽ』とはトンネルの事を指すそうです。
※漢字では『間歩』と書き、もとは炭鉱に通じる道を意味する言葉だったそうですよ。この他、『まんぽ』ではなく『マンボウ』と呼ぶ場合もあるそうです。
そして、もうひとつ一緒にご紹介したいのが
この蹴上の『ねじりまんぽ』の上を通る『線路』です
現在は廃線になっていますが、この線路は
『インクライン』といって、京都ではたいへん有名な線路なんです。
※桜の名所としても知られているんですよ。
明治期、この上を台車に乗せた船が行き来していたんですね。
どうして船を乗せていたの?
と、疑問に思う方もいるかもしれませんが
これは1885年より始まった『琵琶湖疏水事業』に大きく関係しています。
第3代京都府知事の北垣国道(きたがきくにみち)は
物流をスムーズにする為、琵琶湖から京都に
水運を開く計画を立てました。
当時、これは一大事業であり
京都府の年間予算が50万~60万円だったのに対して
総工費125万円をかけて行われたんですね
この大工事の責任者に任命されたのが
・・・田辺朔郎(たなべさくろう)という21歳の若者でした。
※この工事はもともと彼の卒業論文『琵琶湖疏水工事計画』が原案になっているそうです。
こうして琵琶湖疏水事業では、山にトンネルを通して
琵琶湖より水を引っ張ったんですね。
この工事はかなり大変なものだったようで約5年の歳月をかけて、ようやく完成しました。
しかもスゴいのは、当時こうした大きな工事は
外国人の技師(設計士)に委ねられていたのですが
『琵琶湖疏水事業』で初めて、日本人の手(田辺朔郎)によって行われた
土木事業だったそうです
こうして完成した水運を使い、船を用いてよりスムーズな物流が実現したんですね。
ちなみにインクラインや『ねじりまんぽ』を設計したのも
田辺朔郎なんだそうですよ。
しかも!琵琶湖疏水は、物流だけでなく
その後、水力発電事業が計画され『蹴上発電所』が作られる事となりました
こうして電力の供給が開始されると、この電気を使って
日本で最初の市街電車『京都電気鉄道(通称N電)』が
京都の町を走るようになったんですね
うーん、スゴい!これはもう偉業としか言いようがないですねっ。
こうした功績を称え、『琵琶湖疏水事業』に関連するトンネルや発電所には
明治の元勲たちによる扁額が掲げられています。
もちろん、この『ねじりまんぽ』にも
北垣国道による2枚の扁額が掲げられているんですよっ
![雄観奇想](2013/11/13/01/2013-11-13-1.jpg)
南側
『雄観奇想(ゆうかんきそう)』
雄観奇想とは・・素晴らしい眺めと優れた考え、という意味だそうです。
![陽気発処](2013/11/13/01/2013-11-13-2.jpg)
北側
『陽気発処(ようきはっするところ)』
これは・・・
『陽気発処 金石亦透 精神一倒 何事不成』
(ようきはっするところ きんせきまたとおる せいしんいっとう なにごとかならざん)
という言葉の一部で
『集中して物事に挑めば何事でも成し遂げられる』という意味だそうですよ。
まさに、この琵琶湖疏水事業の事だと言えますね。
という事で、今回は蹴上にある『ねじりまんぽ』を
ご紹介させていただきました!
場所はコチラ↓