今回も、京都の文化や神社仏閣にまつわる
ことわざをいくつかご紹介したいと思います~っ
・伊勢に七たび、熊野に三たび、愛宕様には月参り
これは愛宕神社に対する強い信仰心を表したことわざです
詳しく解説しますと
伊勢、熊野、愛宕(あたご)はそれぞれ・・
伊勢=伊勢神宮
熊野=熊野三社
愛宕=愛宕神社
の事を指しています
※熊野三社とは熊野本宮大社(くまのほんぐうたいしゃ)、熊野速玉大社(くまのはやたまたいしゃ)、熊野那智大社(くまのなちたいしゃ)の総称です。
ちなみにこの中で、京都にあるのは愛宕神社だけで
伊勢神宮は三重県、熊野三社は紀伊半島南部にあります
こうした事も関係しているのかも知れませんが
このことわざを、分かりやすく説明しますと
「生涯のうちに伊勢神宮には7回はお参りに行きなさい。
熊野三社にも3回は行きましょう。
でも愛宕神社には毎月、お参りしましょうね。」
・・って事なんですね。
こちらは、愛宕神社で7月31日の夕方から翌早朝にかけて行われる『千日詣り』です。この日に参拝すると、千日分のご利益があると言われています。詳しくは千日通夜祭 2012(愛宕神社)の記事をご覧下さい。
愛宕神社は火除け(火伏せ)の信仰がある事で知られる神社で
参拝者は、ここで火事から身を守って下さいと
神様にお願いしたんですね。
※詳しくは例祭 2012(愛宕神社)の記事をご覧下さい。
・白川夜船(白河夜船)
『知ったかぶり』や『熟睡してしまい、何も気が付かない様子』を
意味する白川夜船(しらかわよふね)とは
京都に行ってきた者が
白川(白河・しらかわ・京都の地名)の事を聞かれ
川の名前だと思い込んでしまい
「夜船で通ったから寝ていて分からなかったよ。」
と知ったかぶりをして答えた事から生まれたことわざです
※この他にも、実際にある白川は船すら浮かべられないのに、知ったかぶりをして、思わず『夜船で通って気付かなかった。』と言いつくろったのが語源だとも言われています。
この白川(白河)とは
かつて京都にあった地名の1つで
現在の京都市左京区の岡崎を中心とした一帯を指します
岡崎には、うさぎで有名な岡崎神社があります。ちなみにこの少し東側には『白川通り』と呼ばれる南北に走る大きな道が通っていたり、現在も、一部の地域で『北白川』と呼ばれるエリアが残っています。岡崎神社については岡崎神社 その1、岡崎神社 その2の記事をご覧下さい。
ちなみに、この白川の地には平安時代
花畑が広がっていたようで、ここに住む女性達は花を摘んで
京の都に売り歩きに行ったんですね。
こうした女性を『白川女(しらかわめ)』と呼んだんですね
※写真は『時代祭』において、当時の装束に身を包み再現された白川女です。頭には沢山積んだ花を載せています。詳しくは時代祭 2010(後編)の記事をご覧下さい。
・うなぎの寝床
これは『間口が狭くて奥行きの深い建物』という意味があり
京町屋にこうした建物のタイプが多い事から
京町屋全般を『うなぎの寝床』と呼んだりするんですね。
どうして、うなぎの寝床なのかというと
うなぎそのものが細長いから!・・ってコトです
ちなみに京町屋のは、玄関を開けると
家の奥まで1本の細い通路が通っているんですね
これを『通り庭』と言います
この通り庭はとても機能的であり
家事(通り庭に台所が設置されています)をしながらでも
靴を脱ぐ事なく玄関先に移動出来たり
家の奥に荷物を運んだりする事が可能なんですね。
ちなみに部屋は、この通り庭に面するように
配置されているので、靴を履いたままで
どの部屋の前にも
行けるようになっているんですよ
・比良の八講荒れ終い
意味というか、読み方すら分からない
・・・という方も多いと思います(笑)
これは『ひらのはっこうあれじまい』と読みます。
『比良の八講』とは、毎年3月の終わりに
比叡山延暦寺の僧侶が琵琶湖にて行っている
水難者を慰霊する天台宗の伝統法要なんですね
※比良とは琵琶湖西岸に連なる山地『比良山地』や、そこに宿っているとされる比良明神を指していると思われます。
比叡山延暦寺は世界遺産としても有名なお寺です。詳しくは延暦寺(東塔)、延暦寺(西塔)、延暦寺(横川)の記事をご覧下さい。
そして、比良の八講を行うと
寒風が吹き荒れると言われていて
この『比良の八講荒れじまい』とは
春を前にして、最後の寒風が吹き荒れる様子を
表現したことわざなんですよ~
という事で、京のことわざをご紹介させていただきました。