ご紹介するのは浦嶋神社(うらしまじんじゃ)で行なわれた・・・
本庄祭(ほんじょうさい)です
今回は、数日間にわたり行われる本庄祭の中から
8月4日に行なわれた『祭礼奉納奉告祭』をお送りしたいと思います!
昔話でおなじみの『浦島太郎』ゆかりの地であり
伊根町(いねちょう)にある
本庄浜の近くに建つ『浦嶋神社』で行なわれる
本庄祭は1200年続く、歴史ある祭です
※伊根町は、京都府与謝郡(京都府北部)にある地域です。
この本庄祭は
豊漁祈願・商売繁盛・家内安全などを願い行なわれ
今回の祭礼奉納奉告祭では
『太刀振り』や『花の踊り』などといった奉納行事を
見る事が出来るんですよっ。
まず最初に、浦嶋神社について
簡単にご説明しますと
浦嶋子(うらのしまこ・浦島太郎)を祭神として祀る神社で
825年に創建されました。
※正式名称は宇良神社(うらじんじゃ)と言います。
祭神は『筒川大明神(つつかわだいみょうじん)』とも言い
このあたりの一帯の産土神とされています
浦島伝説は全国各地にありますが
この浦嶋神社に残されたものが
起源としては最も古いそうで
日本書紀にも記されているそうですよ。
ちなみに、浦嶋神社の浦島太郎のお話は
皆さんがご存知のものとは少し話が違うそうで
お話の主人公でもある浦嶋子が
5色とも7色とも言われる色鮮やかな亀を釣り上げた事から
物語はスタートします
実はその亀こそが・・美しい『亀姫』という女性で
彼女に案内され竜宮城に向かうんですね。
ちなみに、お話のオチは同じで
竜宮城で楽しく過ごした浦嶋子でしたが
浜に帰ってくると
実は300年もの時が過ぎてしまっていて
お土産に貰った玉手箱を開けると
その途端、紫の煙が噴出し
あっという間に老人の姿に変わってしまったというものです
さて、そんな浦嶋子を祀る浦嶋神社で行なわれる
本庄祭についてもご紹介しますと
大きく3つに分かれています。
・宵宮(8月3日)
・祭礼奉納奉告祭(8月4日)
・例祭(8月7日)
※ちなみに『宵宮』と『祭礼奉納奉告祭』は、8月7日に行なわれる『例祭』直前の土曜・日曜に行なわれます。ですので、この2つは年度によって日にちが異なります。
では、さっそくその中から
今回は『祭礼奉納奉告祭』をレポートしたいと思います
8時半過ぎより、神職の方や
各村の役員の方などが浦嶋神社の本殿に集まり
神事が始まります。
お祓いを行なった後、神前に対して
祝詞(のりと・宣言)を奏上し
最後に直会(なおらい・神前に供えたお下がりを食べる事)を行ないます。
9時過ぎより
演舞の奉納が始まりま~す!
今回は『本庄宇治(ほんじょううじ)』と
『本庄上(ほんじょうあげ)』と呼ばれる
2つの区の方による奉納が行なわれます
境内へと入ってくる本庄上
太鼓を乗せた屋台が、浦嶋神社の前(鳥居前)に置かれると
「イョーイ!イョーイ!」という掛け声と供に
まずは、本庄宇治の振り子(太刀振りを行なう人)による
奉納が始まります。
この鳥居前を『外宮』として、これから順番に
2つの区の奉納が行なわれるんですね
太刀振りの内容はどちらの区もほぼ同じで
ダイフリと呼ばれる赤い頭巾をかぶった者(リーダー・音頭取り)が
塩を振り、場を清めた後
五色の紙垂(しで)が付いた棒を振りながら
太刀振りを行なう『振り子』たちを引き連れ
最初に『もみ合い』を行ないます
※数十人の振り子が、お尻ではないですが、おしくらまんじゅうの要領で、背中を引っ付け合う所作を行ないます。
もみ合いは何度か行われるのですが
本庄上のもみ合いでは
2つの陣営にわかれ
まるで騎馬戦のように
もみ合いを行っている事がありましたよ
その後、まずは子供による『棒振り』が行なわれます。
※大人たちにサポートされるように、小さな2人の子供が一生懸命、棒をくるくると回転させたり、演舞を披露していましたよ。
続いて、いよいよ太刀振りが行なわれます。
本庄宇治・小太刀振り
まずは『小太刀振り』からスタートです。
太鼓や笛のお囃子に合わせながら
本庄上・小太刀振り
襷(たすき)がけ姿の青年2人(15歳前後)が
息の合った振りを行ないます
続いて、大人の方々が登場し
円のように広がると『大太刀振り』を行ないます。
大立ちは棒の先に刀が付いているもので
度々、大太刀をくるくると器用に回しながら
ジャンプしてまたいだりと、より全身を使った動きになります。
身体を上下にさせながらダイナミックに動いていましたよ
時おり、ダイフリが登場し、紙垂や
塩を使って、再び場を清めていきます。
最後には、再び中央に振り子が集まり『もみ合い』を行います。
こうして30分程の奉納が終わると
引き続き今度は
本庄上による太刀振りが行われます
外宮での奉納の様子は動画でご覧ください。
こうしてそれぞれ30分強の太刀奉納を『外宮』で行なった後
鳥居をくぐり『内宮(ないぐう・境内)』に皆さん移動します。
境内に入るとまずは、お祓いという事で
拝殿内にて、同様の『もみ合い』が行なわれ
この時に、神職の方によるお祓いを受けます。
この他にも、内宮での太刀振りのを行なう前には、このように社殿の回りを3周走ります。
その後
本庄宇治が
本庄宇治・棒振り
本庄宇治・小太刀振り
本庄宇治・大太刀振り
本庄宇治・花の踊り
の奉納を行ないます。
この後、本庄上もお祓いを受けると
本殿前で、もみ合いを行い
本庄上・棒振り
本庄上・大太刀振り
本庄上・花の踊り
同様の奉納を行います。
さて、ここで『本庄祭』について
もう少し詳しくご紹介しますと・・
冒頭でも言った通り大きく3つに分かれています
8月3日・宵宮
伊勢音頭を歌いながら、提灯を持った男達が
20時頃、浦嶋神社に集まります。
境内に入ると、大きな掛け声を上げながら上半身裸となり
『もみ合い』を行いながら拝殿内に入る、勇ましい宮入りを行ないます。
8月4日・祭礼奉納奉告祭
今回ご紹介している太刀振りや、この後にご紹介する花の踊りが奉納されます。
これらの奉納は1日だけでなく、例祭までの間
各区の神社でも、同様の太刀振り・花踊りが奉納されます。
これを地下祭と言うそうです。
8月7日・例祭
本庄祭の最後に行なわれるのが例祭です。
浦嶋神社の本殿にて各区の代表者らが集い
11時より、祝詞奏上などの神事が厳粛に行なわれます。
ちなみに現在、本庄祭に参加しているのは
3区(本庄浜・本庄上・本庄宇治)ですが
かつて(大正の頃まで)は13もの区が参加していたそうで
朝から日が暮れるまで
太刀振りなど、様々な芸能奉納を行なっていたと言われています
※本庄浜は今年、不参加だったのですけれど2012年度は『祭礼奉納奉告祭』に参加されていたそうです。
さて、それぞれの区が最後に踊る
『花の踊り』についても、ご紹介しますと
太刀振りを行なった若者が中心となって行ないます。
拝殿は割拝殿となっていて、拝殿内を通る通路に集合し行なわれます。
本庄宇治による『花の踊り』は
『松の踊(松の緑の見事さを歌った歌)』
「いやあーをー踊りきいこゑー
志角んごなーる
いやー切戸の松のをーみごとさーよ
いやほーは
いやー松の踊りは面白ーやー
いやあーをーをどりきいこゑー
志たかさごのー
いやー尾の江の松のを見事さよー
いやほーは
いやー松の踊りは面白ーやー
松の踊りは面白ろやー
いやー踊りきいこーゑー
志びやこなるー
いや松風ー五薬のーお庭は先きー
いやかーりの松のを見事さーよ
いやほーは
いやーあー松の踊りは面白ろーやー
松の踊りはこれ迄でーよー」
『通ひ踊(若狭にいる女郎衆のもとに通う歌)』
「いやあー通ひ踊は一踊りー
いやあおれらーがとのごーは わかーさーゑかーよふう。
いやあーわかさのー女郎衆がー
とめーたあげーなー
さー通ひのーお踊りーいは面白ーや
わーかーさーの女郎衆がーとおめたーと聞ーかばー。
いや文ことづーきよをもの若さまる一ー。
さあ通ひの踊は面白やー。
いや沖とをる舟でもわかさゑ一行かばー
いや文ことづきよものー若さまゑー
さあ通ひの踊りは面白やー
空ら立つ鳥りーでもわかさゑ行けば
いや文こーとづーきよもの若さまゑ
さーあ通ひの踊りはこれ迄でよー」
の二番が披露されます
2人の太鼓打ちの鳴らす音に合わせて
歌が奉納されます。歌だけでなく、皆さん左右に揺れながら
息を合わせるように行なっていました。
内宮での様子は動画でご覧ください。
本庄上による『花の踊り』も二番行なわれます。
日本全国の名所をちりばめながら花の美しさを歌う『花の踊り』と
海の町らしい『船頭踊り』が奉納されました。
こうして12時頃、本庄祭の『祭礼奉納奉告祭』は終了しました。
そんな祭礼奉納奉告祭が行われた浦島神社の場所はコチラ↓
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