今回ご紹介するのは

京都府の南丹市(なんたんし)に位置する

天稚神社

天稚神社(あめわかじんじゃ)です

※南丹市は、京都市の北西に位置する市です。


この神社はもともと、世木(よき)と呼ばれた村にあり

現在、建立されている場所から

3キロほど南東に位置していました


1年の祭礼が書かれた案内板

1年の祭礼が書かれています。


かつては世木の一之宮(いちのみや・最も社格の高い神社)に

位置付けられていたそうですよ。

※一之宮は、かつてあった社格制度におけるものです。戦後廃止となりましたが、現在でも目安の1つとされています。


鳥居と社殿

ちなみに現在の社殿が建てられたのは1991年で

日吉ダムの建設に伴い、移築される事となったんですね


石版

そんな天稚神社の起源について

詳しい文献は残っていないそうですが

世木の地に降り立った神様『天稚彦(あめのわかひこ)』を祀る神社として建立されました。

※この時、「この世と久しい(同じくらいの)木と一緒に私を祀りなさい」と神託を受け、村人達は立派な3本の杉の木と一緒に天稚彦を祀ったと言われています。この事から、世木という村の名前が付けられたそうですよ。


さて、この天稚彦という神様はどんな神様なのかと言いますと

天上界(高天原・たかまがはら)から

葦原中津国(あしはらのなかつくに・日本の国土の事)に

使者として送られた神様として

日本神話(古事記)に登場します。

※葦原中津国は、高天原と黄泉の国(よみのくに・死の国)の間にあるとされる世界で、日本の国土を意味しています。


葦原中津国は

伊弉諾尊(いざなぎのみこと)と伊弉冉尊(いざなみのみこと)によって

作り出されたといわれる世界で

伊弉諾尊の息子である素戔嗚尊(すさのおのみこと)が

天上界を追い出された際に、降り立ったと言われています。


ちなみに素戔嗚尊は

葦原中津国で、ヤマタノオロチを退治したり

櫛稲田姫尊(くしなだひめのみこと)と結ばれたりするんですね

※詳しくは貴船祭 2012(貴船神社)の記事をご覧下さい。


その後は、素戔嗚尊の義理の息子にあたる

大国主命(おおくにぬしのみこと)が

葦原中津国を統治していたんですね

しかし、天上界(高天原・たかまがはら)では

素戔嗚尊の姉である天照大神(あまてらすおおみかみ・太陽神)が

「葦原中津国は私達の親が作ったものであり

本来は私達のものはず。素直にあけ渡しなさーい!」


と大国主命に対して使者を送ったのでした。

その使者こそが・・・天稚彦だったのです

※ちなみに、天稚彦の前にも使者が送られていましたが、大国主命の人柄に惚れ、部下になってしまい、失敗に終わっていたのです。


天上界の期待を受け

葦原中津国に降り立った天稚彦でしたが・・・

なんと

大国主命の娘である下照比売(したてるひめ)と

結婚しちゃうんですね!(汗)

天稚彦よ、使命はドコにいったんだ・・・。


本殿

本殿には天稚彦が祀られています。


そんなこんなで、結婚しちゃった天稚彦は

これをきっかけにして

自分が、大国主命からこの国を譲り受けてやろう!

と考えていたとも言われています


数々の祠

境内にはこの他にも祠が並んでいました。手前から大国主命、豊国主命、稲荷大神らが祀られています。


天満宮

天満宮もありました。祀られているのは学問の神様で知られる菅原道真(すがわらのみちざね)です。天満宮について詳しくは京の天満宮巡りの記事をご覧下さい。


しかし、そんな彼の死は突然やって来ます。

使者に行ってから8年、何の音沙汰も無い事から

天上界では、しびれを切らし

鳴女(なきめ)という一羽のキジを、伝書鳩代わりに

天稚彦のもとに送り出しました。


しかし!

天稚彦は、やって来た鳴女を、弓矢で射抜いちゃうんですね。

※この弓矢は『天鹿児弓(あまのかごゆみ)』と『天羽々矢(あまのはばや)』と言い、葦原中津国に行く際に持たされた、強力な武器でした。


・・・邪魔者は全て消し去るという事でしょうか(汗)

この天稚彦の放った矢(天羽々矢)は天上界にまで届いてしまい

神々の逆鱗に触れてしまったのです。

こうした事から天稚彦は

裏切り者(反逆者)と見なされたんですね。


天上界の神々は、その矢を手に持ち

「天稚彦に邪心があれば、この矢は彼の胸に突き刺さるだろう。」

と言い、葦原中津国に向けて矢を投げ返すと

その言葉通り、天稚彦の胸に矢は突き刺さり

・・天稚彦は死んでしまったと言われています


結果的に、その後

天上界から送られた建御雷神(たけみかづちのかみ)によって

大国主命は葦原中津国を譲り渡したと言われています。

※この事から大国主命は『国譲りの神』として知られています。ちなみに島根に建つ出雲大社は、彼が国を譲る代わりに建てられたと言われています。


という事で、今回はそんな天稚彦を祀る

天稚神社をご紹介しました!

場所はコチラ↓


大きな地図で見る

タイトル
コメント
※必須項目です。
コメントに関する注意点
※個人や特定の団体に対する誹謗中傷は、削除させていただく場合がございます。ご了承下さい。
※記事と関係の無いコメントに関しても削除する場合があります。
※投稿後は編集や削除ができません。

画像認証
※必須項目です。

※上の画像で表示されている文字を入力してください。

ニックネーム
ブログURL
※ブログをお持ちの方はURLをどうぞ。
※不適切なリンクは削除される場合があります。

イベントカレンダー

祇園祭のイベント一覧

京都検定過去問

萩の名所巡り

京の茅の輪巡り

半夏生の名所巡り

一初の名所巡り

山吹の名所巡り

椿の名所巡り

桜の名所巡り

梅の名所巡り

雑談掲示板 新着