こんにちは京子です。
今回ご紹介するのは
千本ゑんま堂で行われている
千本ゑんま堂大念佛狂言(せんぼんえんまどうだいねんぶつきょうげん)です!
※千本ゑんま堂は通称であり正式には引接寺(いんしょうじ)というお寺です。
京都三大念仏狂言の1つである
『千本ゑんま堂大念佛狂言』は
残る『壬生狂言』や『嵯峨大念仏狂言』と違い
殆どの演目にセリフが入っているのが特徴の
大念仏狂言です。
狂言はそもそも
能の舞台の合間に行われていたもので
能とは対照的に『喜劇』が中心の舞台劇であり
後に、お寺のお坊さんの布教活動と結び付き
生まれたのが大念仏狂言です。
『千本ゑんま堂大念佛狂言』は
引接寺の住職、定覚(じょうかく)が始めたもので
彼が開いた念仏法会の中の余興に狂言が用いられていました。
そもそも大念仏狂言は
仏教の教えを説く為に始められた
宗教劇の一面がありましたが
時代が移り変わるにつれ、宗教色が薄れていき
現在は、お寺で行う喜劇として
広く京都の人たちに浸透しています
毎年、5月1日から4日まで千本ゑんま堂にて行われる
『千本ゑんま堂大念佛狂言』は
延べ1500人もの来場者が訪れる人気狂言です
そこで今回は初日の様子をご紹介します♪
まず1本目に行われたのが
『閻魔庁』です。
引接寺で行われるにはぴったりの演目です。
どうしてかと言いますと
閻魔大王の裁判補佐をしていたと伝わる
平安時代の歌人・小野篁(おののたかむら)が
『閻魔法王』を祀った事により
始まったとされているからなんです。
今でも境内には高さ2.4メートルの本尊『閻魔法王』の坐像があります♪
※千本ゑんま堂について詳しくは『千本ゑんま堂(引接寺)』の記事をご覧下さい。
では、演目について解説します♪
登場人物は
閻魔法王と記録係に加え
鬼と亡者の計4人です。
右から閻魔法王、亡者、記録係、鬼となってます。
※ちなみに『千本ゑんま堂大念佛狂言』で行われる20以上もの演目の中で『閻魔庁』と『芋汁』だけは無言劇となっています。
『閻魔庁』はとても歴史のある演目で
織田信長が上杉謙信に贈ったと言われる『洛中洛外図屏風』にも
千本ゑんま堂で『閻魔庁』が演じられている
シーンが描かれているんですよ
代表的な演目の1つで
毎年、『千本ゑんま堂大念佛狂言』は
この演目からスタートするそうです。
劇中では
鬼が亡者を虐めているところからお話は始まります。
ここで亡者が持っていた1つの巻物から
物語は進んでいきます。
不思議な力を持つその巻物の力で、鬼は弱り始め
困った挙句に無理やり巻物を取り上げ、記録係へと差し出すのです
しかし、この巻物に目を通した記録係は
彼が生前どんな行いをしたのかを知り
閻魔法王に判断を仰ぎます。
その結果、亡者が善人であると確認され
今度は逆に鬼が懲らしめられてしまい、亡者は
極楽へ旅立っていくというお話です。
こうして30分程の演目が終了です。
ちなみに『千本ゑんま堂大念佛狂言』の公演に関して
初日と2日目は19時から公演が行われ、4演目ずつ見る事が出来ます
3日目と4日目は13時からと19時から公演が行われ
なんと11演目(昼7演目・夜4演目)も見る事が出来るんですよ♪
是非、最終日までに一度行かれてみてはいかがでしょうか?
続きまして行われた演目は『でんでん虫』です。
長寿の薬にでんでん虫の黒焼きが良いと聞いた大名は
家来(太郎冠者)を呼び付け
でんでん虫を捕りに行かせようとします
ですが家来はそもそも「でんでん虫」を見た事が無く
身振り手振りで姿や形を教えてもらいます。
教えてもらった家来はやっとの事で
山の中へと捕りに行く事となりますが
そこで偶然に遭遇した山伏を
でんでん虫と間違えてしまうお話です。
いったいどのように教えてもらえば
山伏をでんでん虫と間違えるのでしょうか
こうして2本目が終了です。
座席は約300席用意されていますのでゆっくり座って見る事ができます♪
それにしても
鉦や太鼓、笛を使い、拍子に合わせてリズミカルに表現される演目は
どれもテンポ良く進んでいきますね~
では3本目『いろは』をご紹介します。
読み書きが苦手な小僧に『いろは』を教える師匠のお話。
寺子屋の師匠の所に小僧が弟子になるためにやってきます。
師匠が手本のいろは四十八文字を書くために
紙を持っていないかと聞くと
弟子は髪や神と間違えてしまうんです
お約束といった感じですね♪
どうにかこうにか手本を書き記すと
今度は読みを教えます。
しかしここでも覚えの悪い弟子。
一向に読めない弟子に対して師匠は
言った通りの口真似をするようにいいますが・・
この口真似がうまくできるのか?
弟子を演じているのは小学生でしょうか
動作やセリフのタイミングも絶妙で
会場には沢山の笑いが溢れていました♪
そして、最後の演目は『土蜘蛛』です。
これは以前、嵯峨大念仏狂言でも行われていましたね。
しかし、『千本ゑんま堂大念佛狂言』では登場人物は同じですけれど
話の内容が少し違うようでした。
※嵯峨大念仏狂言に関しては『嵯峨大念仏狂言 2012(清凉寺)』をご覧下さい。
土蜘蛛の魔力によって病に伏せる源頼光。(みなもとのらいこう または みなもとのよりみつ)
そこへ家来の渡辺綱(わたなべのつな)と平井保昌(ひらいほうしょう)が見舞いにやってきます。
そして彼らが部屋から出たタイミングで
今度は怪しげな僧が現れ
頼光に襲いかかってきます。
応戦して戦う頼光でしたがあと一歩のところで
取り逃がしてしまいます。
この騒ぎを聞きつけた家来たちが
松明を手に怪しげな僧を捜索します。
床に滴る血を見つけて追うと
そこにいたのは、僧に化けた土蜘蛛の姿でした
正体を突き止めた綱と保昌は協力し
主君頼光を苦しめている土蜘蛛を倒すというお話です。
ちなみに、この土蜘蛛の放つ糸を持ち帰ると
災難や盗難に対してご利益があるそうで
終演後は多くの人たちが持ち帰っていましたよ
という事で演目を一気にご紹介しましたけれど
『千本ゑんま堂大念佛狂言』は5月4日まで
この他にも様々な演目が行われます♪
気になった方は是非、足を運んでみてはいかがでしょうか?
会場になっている千本ゑんま堂の場所はコチラ↓
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