今回ご紹介するのは『京の八幡宮(はちまんぐう)巡り』です。

八幡宮とは、八幡神(はちまんしん・八幡大神)を祀る神社で

その名の付いた神社は、全国的に建てられています。

※総本社は大分県にある『宇佐八幡宮(うさはちまんぐう)』です


八幡神とは

応神天皇(おうじんてんのう・第15代天皇)の神霊とされ

応神天皇の母親である『神功皇后(じんぐうこうごう)』と

父親である『仲哀天皇(ちゅうあいてんのう)』の三柱で

八幡三神と言われています

※神社によっては仲哀天皇ではなく比売大神(ひめのおおかみ)を祀っている場合もあります。比売大神は特定の神様の名前ではく、主祭神(この場合は応神天皇)と関係の深い女性の神様を指すものです。八幡宮の場合は宗像三女神(むなかたさんじょしん)とされています。宗像三女神については、京都 検定過去問 その156の記事をご覧下さい。


源氏の氏神とされる八幡神の信仰は

鎌倉幕府が誕生すると、全国的に広がり

以後、武士の世において

篤い崇敬を受ける事となりました。

全国に社殿が出来ると

その土地の産土神とも結びつき

戦勝祈願だけでなく、様々な祈願がされる事となります。


中でも、祭神である神功皇后は

三韓征伐(さんかんせいばつ)の際に

お腹の中に、応神天皇を宿しながら

新羅・百済・高句麗を攻め立て、勝利に導いた後

無事に元気な子供を産んだ事から

『安産祈願』や『疳の虫封じ』のご利益があると言われています。

※三韓征伐について詳しくは藤森神社の記事をご覧下さい。


では早速、京都にある八幡宮をご紹介したいと思います!


・綾部八幡宮(あやべはちまんぐう)

綾部八幡宮

京都府綾部市宮代町明知9


平安時代後期、丹波国(たんばのくに・現在の京都府北部)の

国守であった平重盛(たいらのしげもり・清盛の嫡男)により

石清水八幡宮(いわしみずはちまんぐう)の別宮(べつぐう)として

創建された事を起源とする神社です。

毎年4月に行なわれる春季大祭では

200年前の作法を再現した『お田植式』を見る事も出来ます。

※詳しくは春季大祭 2013(綾部八幡宮)の記事をご覧下さい。


・石清水八幡宮(いわしみずはちまんぐう)

京都府八幡市八幡高坊30


日本3大八幡宮の1つであり

宇佐八幡宮より信託(しんたく・神のお告げ)を受け

清和天皇(せいわてんのう・源氏の祖)の勅願により

860年、御所の裏鬼門(南西)にあたる

男山(おとこやま)に創建されました

※名前の由来は、この地(男山)に湧き水(清水)から取られました。


以後、『平将門の乱(たいらのまさかどのらん)』が

朝廷を不安にさせた際には

天皇・上皇・法皇などの行幸(参拝)は

累計で240回以上とも言われています。

※935年より始まった『平将門の乱』は関東において、武士である平将門が新皇(しんのう)と名乗り、勢力を拡大し、朝廷を脅かしました。結果的には940年に、藤原秀郷(ふじわらのひでさと)・平貞盛(たいらのさだもり)らにより平将門は討伐されました。


以後も武家から高い崇敬を受け

織田信長や豊臣秀吉などが

社殿の修復や改修を行なっています

この他にも、石清水八幡宮は

3勅祭の1つである『南祭(なんさい・石清水祭)』が

行なわれる事でも有名です。


首途八幡宮(かどではちまんぐう)

首途八幡宮

京都府京都市上京区智恵光院通今出川上ル桜井町102-1


かつては御所の大内裏(だいだいり・皇居や官庁のあった場所)の

北東(鬼門)に位置していた事から

往生鎮護の神(社)とされていた神社です

この他、源義経(みなもとのよしつね)が奥州へ向かう際に

立ち寄ったと言われる神社で

道中の安全を祈願しに、参拝したと伝えられています


首途(かどで)とは『出発』の意味であり

その名の通り、義経の旅の首途を見送った事から

旅の安全や交通安全のご利益のある神社として知られています。


金攫八幡宮(きんかくはちまんぐう)

金攫八幡宮

京都府京都市北区平野桜木町2-1


金攫八幡宮

江戸時代の1685年(貞享2年)に

京都府八幡市(やわたし・京都市の南西)にある

石清水八幡宮(いわしみずはちまんぐう)から

この場所である衣笠村(きぬがさむら)の

小北山(おだたやま)に勧請したと言われています。


創建当初はそんな理由から

小北山八幡宮(おだたやまはちまんぐう)と

呼ばれていたそうです。


境内には通称『黄金(こがね)モチの木』と呼ばれる

クロガネモチの木があります。


御所八幡宮(ごしょはちまんぐう)

御所八幡宮

京都府京都市中京区御池通高倉東入ル亀甲屋町594-1


足利尊氏(あしかがたかうじ)の邸宅に

守護神として勧請された社を起源とする神社で

足利将軍家の守護社とも言われています。

この他、別名・虫八幡(むしはちまん)とも呼ばれ

安産や疳の虫封じのご利益がある神社とされています。


現在地に移されたのは

第二次世界大戦による強制疎開の為だそうです。

※強制疎開とは、空襲での火災による延焼を防ぐ為の対策です。建物を壊し、道幅を広くする事によって、燃え移りにくくしたんですね。


篠村八幡宮(しのむらはちまんぐう)

篠村八幡宮

京都府亀岡市篠町篠上中筋46


綾部八幡宮同様、丹波国に創建された神社で

1071年、後三条天皇(ござんじょうてんのう)の勅願により

源頼義(みなもとのよりよし)が

誉田八幡宮(こんだはちまんぐう・大阪府)から八幡神を勧請し

創建したと言われる神社です

※後三条天皇とは藤原氏を外祖父(がいそふ)に持たない天皇であり、藤原氏の排除に取り組んだ事で知られます。詳しくは、白河天皇陵(成菩提院陵)の記事をご覧下さい。


足利尊氏の倒幕挙兵地としても知られ

この後、六波羅探題(ろくはらたんだい)を滅ぼし

室町幕府の礎を築いたんですね

※六波羅探題とは、鎌倉幕府が朝廷を監視する目的で置かれた組織の事です。


幡枝八幡宮(はたえだはちまんぐう)

幡枝八幡宮

京都府京都市左京区岩倉幡枝町1118


894年、新羅の賊が攻めて来ると噂される中

三韓征伐を行なった神功皇后を含む八幡三神より

「この地(幡枝村・現在は廃村)に我を鎮座させよ」という旨の

神託があった事により創建されました。


それ以後、天皇家より信仰が篤く

祭具などを賜っていたようです。

境内には『針神社』と呼ばれる末社もあり

毎年12月には針供養も行なわれています。

※針供養については針供養祭 2012(針神社)の記事をご覧下さい。


平岡八幡宮(ひらおかはちまんぐう)

拝殿

京都府京都市右京区梅ケ畑宮ノ口町23


山城国(やましろのくに・現在の京都府南部)最古の八幡宮と

言われる神社で、平安時代初期に創建されました。

その後、火災によって消失しますが

室町幕府3代将軍・足利義満(あしかがよしみつ)によって

再建されたと伝わります。


通常非公開の神社ですが、春と秋の2度

特別公開され、椿や紅葉を楽しむ事が出来ます

この他にも、堂内の天井には

極彩色に彩られた44枚の花の絵が描かれた

『花の天井』が有名な神社です。


三宅八幡宮(みやけはちまんぐう)

三宅八幡宮

京都府京都市左京区上高野三宅町22


遣隋使で有名な小野妹子(おののいもこ)が病気にかかった際

宇佐八幡宮に祈願し平癒した事から

小野妹子の居住地であった、この地に

勧請したのが事が始まりとされる神社です。


御所八幡宮と同様に

疳の虫封じのご利益があるとされています。


離宮八幡宮(りきゅうはちまんぐう)

離宮八幡宮

京都府乙訓郡大山崎町字大山崎小字西谷21-1


806年、嵯峨天皇の離宮跡に建てられた事から

その名が付いた神社です。


また、離宮八幡宮の神官の1人が

当時(平安時代や鎌倉時代など諸説アリ)

エゴマ(草花)から油を採取する『搾油装置(さくゆそうち)』を

発明した事から『油祖(ゆそ)の神』として

製油業界から、厚い崇敬を受けています。

※諸説ありますが、離宮八幡宮は石清水八幡宮の元社(もとしゃ)とも言われているそうですよ。


若宮八幡宮(わかみやはちまんぐう)

若宮八幡宮

京都府京都市東山区五条橋東5丁目480


1053年に、後冷泉天皇(ごれいぜいてんのう)の勅願により

源頼義によって創建されました。


以後、源氏一族だけでなく室町時代に入ると

足利歴代将軍の崇敬も受けたと伝わります。

昭和に入ってから、陶祖神の椎根津彦命(しいねつひこのみこと)が

合祀された事から別名・陶器神社とも呼ばれています


若宮八幡宮(わかみやはちまんぐう)

京都府京都市山科区音羽森廻町36


京都には2つの若宮八幡宮があります。

こちらは山科にある若宮八幡宮です。

飛鳥時代、天智天皇によって勧請された神社です。


平安時代には観音寺が境内にあったようですが

明治期の廃仏毀釈(はいぶつきしゃく)により廃寺となりました。

※廃仏毀釈について詳しくは泉涌寺 その1の記事をご覧下さい。


境内には、天智天皇の孫にあたる大津皇子(おおつのみこ)の

供養等が建てられています


という事で、今回は京都にある八幡宮を紹介させていただきました!

場所はコチラ↓


より大きな地図で 京の八幡宮巡り を表示

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