今回は、京都府亀岡市にある

出雲大神宮(いずもだいじんぐう)で行われた

花鎮めの祭、鎮花祭(ちんかさい)をご紹介します。

鎮花祭

出雲大神宮は、大国主命(おおくにぬしのみこと)と

御后(おきさき)の三穂津姫命(みほつひめのみこと)を

祀る神社です。


大国主命は国譲りの神様として有名ですね。

※大国主命について詳しくは、地主神社の記事をご覧ください。


鎮花祭のぼり

その出雲大神宮で行われる鎮花祭は、毎年4月18日の

花が散るこの時期に行われる祭です。


かつては、花が散るのと一緒に

「疫神」が四方に散って、病気を引き起こすと

考えられていたそうです。


そこで、これを防ぐ為に鎮花祭が行われていたんですね。

この鎮花祭には、たくさんの奉納行事があって、なかでも

『出雲風流花踊り』(いずもふりゅうはなおどり)が

目玉なんですよ。

花笠を被った踊り手が、華やかな装束で歌い踊ります。


では早速、レポートしていきましょう。

出雲大神宮・本殿

神事が朝10時に本殿で始まります。


まずは、罪や穢れ(けがれ)を祓うために

修祓(しゅばつ)を行います。

その後、お供え物の神饌(しんせん)を献上して

宮司さんが祝詞(のりと)を奏上(そうじょう)します。


浦安の舞

その後、巫女による神楽『浦安の舞』が奉納されます。

浦安の舞は、国家安康や五穀豊穣を祈るために行われるものです。


この舞は、昭和天皇がお詠みになった和歌(御製(ぎょせい))に

節をつけたもので、2人の巫女が扇を持ちながら始め

途中で鈴に持ち替え、優雅に舞います。


浦安の舞の動画は、以下で見れますよ。


その後、玉串を奉納して神事が終わり

いよいよ出雲風流花踊りの奉納へと移ります


出雲風流花踊りは、もともと

雨乞いの芸能として知られ、笹踊りや

浴衣踊りとも呼ばれたそうです。


明治から大正にかけては一時中断しましたが

昭和天皇の御成婚の奉祝記念事業として復興されました。


今では、雨乞いの意味は失われましたが

踊りは継承されて、京都府の

登録無形民俗文化財に指定されています。


ニノ鳥居の前でお祓い

まずはニノ鳥居の前で11人がお祓いを受け

その後、参道にて入葉(いりば)の曲を踊ります。


これに加え、下記の歌を歌います

入葉

「老せぬや、薬の名をも菊の酒、イヤサッ、盃も浮み出て

ともに逢ふぞ嬉しき、また共に酔ふぞ嬉しき。」


拝殿周りで踊りを奉納

その後、拝殿で

『一の宮をどり』『恋のをどり』『正月踊り』の順に

奉納されます。


拝殿の周りで踊ります

太鼓などを手に拝殿の周りで踊る姿に

見物している方達も、しきりに

カメラのシャッターを切っていました。


入葉と同じく、踊りながら下記の歌を歌います。

一の宮をどり

「千早ふる、ふるちはやふる、ハアソリャ神のお庭でいさごふる、ハアソリャ

出雲をどりは有難や、目出度やの、日麦は出雲のおやしろよ

今日はお宮の花まつり、いざや人々こりをとろ 葭に実のなる世の中よ

山にかねふる、里に米ふる、内にはしらげの米がふる御作は親に子がさき

子に子がさきて、目出度やの、杵づきは稲三束で、米五斗五升五合ある

桝と斗かきと箕ゆれば、国の世の中ゆりなおす、是迄よ」


歌の書かれた扇子

扇子には歌が書かれていました。


恋のをどり

「おれは御所の横笛よ、イヤ御所の内をばしのび出てイヤ

つれてござろか嵯峨の奥まで、嵯峨の奥まで、イヤ

恋の路はよしなやの よしなやの 二人の親の御意をもして

連れてござろか嵯峨の奥まで 嵯峨の奥まで

踏もならぬ道芝を、すそは露で、たもとは涙で

濡れてござろか嵯峨の奥まで 嵯峨の奥まで

恋の路は、よしなやの よしなやの 人の心は情なや、瀧口とめてくれもせで

くれもせで人は鬼もいへ 角もいへ おれも瀧口水いらず、是迄よ」


笹新発意

こちらは笹新発意(ささしんぽち)です。

笹新発意

踊りの進行役を務めているんですよ。

新発意は、本来、仏門を目指した新米のお坊さんのことです。


正月踊り

「正月には又かどに門松、七五三かざり、内にはしらげの米がふる

二月には又つばくろが 自在小かげに巣をかけて、銭米こたれとお三度すへづる

三月には又桃の花祝の御所へ参るとの

四月には又卯月八日の花おりに 神に捧げてまいらする

五月には又ごごら五日の若菖蒲 館ふんしまはると

六月には又夏せみが、高きこずえをとりのぼり私等も時の音を出す。

七月には又七夕の、年に一度のちぎりとて、天の河原で出合はるゝ

八月には又放生会神々の、いかなる神も駒くらべ

九月には又菊の花、祝の御所へ参るとの

十月には又小池の上なる薄氷り、唐のかがみに左も似たり

霜月、師走は鬼宿とて京も田舎も嫁取り婿取りはやりそろオンヤ、是迄よ」


ちなみに踊り手が被っている花笠には

季節を彩る造花があしらわれています。

2013年は『1月、2月、3月、4月、6月、7月、9月』の

花笠が登場しました。


ここで月ごとの花笠をご紹介しますね。


1月、松・竹・梅

1月、松・竹・梅

2月、梅・鶯

2月、梅・鶯

(こちらは、2012年のはねず踊りで奉納された時のものです)

3月、山吹

3月、山吹

4月、桜・たんぽぽ

4月、桜・たんぽぽ

(こちらは、2012年のはねず踊りで奉納された時のものです)

5月、菖蒲・藤

5月、菖蒲・藤

(こちらは、2012年のはねず踊りで奉納された時のものです)

6月、牡丹

6月、牡丹

7月、七夕・菊

7月、七夕・菊

8月、瓢箪(ひょうたん)

8月、瓢箪(ひょうたん)

(こちらは、2012年のはねず踊りで奉納された時のものです)

9月、桔梗・ススキ

9月、桔梗・ススキ

10月、紅葉

10月、紅葉

(こちらは、2012年のはねず踊りで奉納された時のものです)

11月、菊

11月、菊

(こちらは、2012年のはねず踊りで奉納された時のものです)

12月、椿、水仙

(12月の花笠写真は、今回と2012年のはねず踊りで無かったのでありません。)


その様子を動画でご覧ください。

この踊りって何処かで見た事ありませんか

そうなんです

隨心院のはねず踊りで奉納されていたんですよ。

※詳しくは、はねず踊り 2012(隨心院)の記事をご覧ください。


30分程で奉納が終わると、この後も様々な行事が続きます。


12時、ブリランテ(2人の女性がアカペラで華やかに歌います)

※ブリランテはユニット名です。

東日本大震災の復興支援ソング『花は咲く』や

坂の上の雲の主題歌『Stand Alone』

民謡などを歌っていました。


12時20分、歌謡唱

12時40分、伊勢大神楽

13時10分、空手奉納

13時20分、地歌舞

13時50分、歌謡唱

14時10分、太鼓・尺八・琴

14時25分、日本舞踊

14時55分、居合道(いあいどう)

と夕方くらいまで続いていきます。


来年、時間があれば

見に行ってみてはいかがでしょうか


鎮花祭の行われた出雲大神宮の場所はコチラ↓


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