こんにちは京子です

さて、本日ご紹介する神社は

薬祖神祠(やくそじんし)です。


名前からもお分かりのように、こちらは薬にまつわる神様たちを

祀っている神社になります

※ちなみに神祠(しんし・じんし)とは、御神体などが祀られている祠(ほこら)や社(やしろ)のことを指します。

さて、どうして薬を祀る神社が出来たのかと言いますと

その昔、京都の二条通(にじょうどおり)と呼ばれる

京都市内を走る東西の通りには

50を越す薬問屋や薬局などが並んでいました。

江戸時代から薬の町として栄えてたんですね


そして1858年には、二条通に店を並べる方たちが集まり

中国の薬神と呼ばれる「神農(しんのう)」を祀ることを決めました。

それが薬祖神祠の始まりとされています。


ちなみに神農とは、古代中国の伝説に登場する皇帝で

医療と農耕の術を教えたといわれています。

医薬と農業を司る神とされているんですよ

頭と手足以外、体が透明な神農は、毒を食べると内臓が黒くなるという特殊な体の持ち主。

彼は様々な葉を食べて毒の有無を調べたりしていました。


毎年11月には「薬祖神祭」というお祭りがあります。


かつて「二条の神農さん」とも呼ばれるほど有名だったそうで

京都の年中行事の一つに数えられていました


1864年の蛤御門の変で二条の薬業街が焼失してしまい

大打撃を受けますけれど、祭りは例年通り行われたと言われています。

※蛤御門の変に関しては梨木神社の記事をご覧下さい。




明治維新後は一時中断していたそうですが

1880年に再開し、この時

西洋医学の祖とされるギリシャの哲学者『ヒポクラテス』も

祭神に加えられるようになりました。

※これは当時、二条に並ぶ薬問屋が欧州の薬も輸入し、販売をしていた為だそうです。


ヒポクラテスと言えば

古代ギリシアのお医者さんで、当時の原始的な医学から迷信や呪術を切り離して

医学を科学的に発展させた事で知られています。

彼の死後、完成された『ヒポクラテスの誓い』は

医師の職業倫理について書かれた誓詞で

日本の看護学校や医療に携わる専門職の教育課程でも

カリキュラムの一環として教えられていたりします。


どんな言葉が載っているのかと言いますと・・・


『知りながら害をなすな』


そうなると分かっていながら、見過ごす事をしてはいけない

というだけではなく、


・自分の行っている事が他人への害になると知っているのであればやってはいけない。

という意味であったり


・プロ(医師)とは、顧客(患者)に対して必ず良い結果をもたらす約束は出来ない。しかし、知りながら害をなす事は無いと約束しなければいけない。

とも、言われているんですよね。


さて、お話を薬祖神祠に戻しまして・・

神農やヒポクラテスの他にも

大巳貴命(おおなむちのみこと)、小彦名命(すくなひこなのみこと)

大国主命(おおくにぬしのみこと)など日本の神様も加えられ

様々な国の神様が薬祖神祠では一緒に祀られています。


少し、見にくい写真ですけれど

鳥居のすぐ向こう側はガラス張りになっていて

それ以上向こうには進めないようになっているんです


ガラスの奥は部屋(社殿)になっていて

床の上に様々なものが並んでいました。

・神農像

萬福寺の隠元(明から来たお坊さん)が持ち込んだものだそうです。

・ヒポクラテス像

この他にも、獅子舞や神輿、太鼓までありましたよ。

そして、ガラスで仕切られた部屋の更の奥には

もうひとつの鳥居があり、その奥に祠があります


今も変わらず、薬問屋からの信仰を受ける

薬祖神祠の場所はコチラ↓


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